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料理の味は何で構成されているのか、考えてみる

レシピを見ると、だいたい「材料」とその「分量」、それと「作り方」が書いてありますね。

レシピを書く立場からすると、「まずはレシピ通り作って」みて、それから使う食材や調味料を少しずつ好みにアレンジして欲しい、という気持ちはあるのですが、私のレシピは基本的に「余白」が多いレシピになっています。

つまり、「最初からアレンジされる前提で融通の効く」レシピ、と言うことです。
この辺りについては以前も似た内容の記事を書いています。(この記事は、以下の2つの補足にもなっています)

レシピには、実はいくつか種類があって

①レシピ通り作らないと味の再現が出来ないレシピ
ex.プロの料理人のレシピ、製菓のレシピなど

②レシピ通り作っても、作る側のスキルにより出来上がりに差が出るレシピ
ex.レシピ投稿サイトのレシピなど

③多少アレンジしても、食べる側が満足出来るレシピ
ex.家庭向けの料理家のレシピなど

④再現性の無いただのメモのようなレシピ
ex.レシピ投稿サイトのレシピや覚え書など

大まかにこのように分類出来ると思います。
初めて作るお料理のレシピを探す際は、出来るだけ①か③のレシピをおススメします。

私のレシピは、この中の③であるように書いています。アレンジしても、作る人(及び食べる人)の「好みに仕上がる」余地があるように書いていると言うことです。それを「余白のあるレシピ」と表現しています。

③のレシピは、レシピ通り作ると「レシピ執筆者の決めた味」になり、好みにアレンジすると「調理した人の好みの味」になります。
①も同様になりそうな気はしますが、レシピを書いた側はそれを担保しません。そこが①と③の違いです。

さて、ここからが本題です。

出来上がったお料理の味は

①素材の味
野菜や肉や魚がそれぞれ持っている素のままの味

②調理によって生まれる味
切り方の違い、加熱による変性、メイラード反応や煮詰める工程により生まれる味

③調味料の味
塩、砂糖、醤油などで足される味

の3つから構成されています。

レシピを書く人によって、出来上がった料理のどの味にウェイトを置くかは異なります。
また、「出汁」を①〜③のどの味と解釈するかでレシピの書き方も違って来ます。

レシピの「作り方」で調理手順が時系列に(時には多少前後することもありますが)書かれていると、調味料を入れるタイミングがいくつかありますね。

例えば「塩」は使うタイミングで仕上がりに差の出る代表的な調味料です。砂糖も同様です。しかも、何度も出て来る場合もあります。

これは「料理は科学」と言われる所以なのですが、塩や砂糖は味をつけるだけでなく、「浸透圧」を利用して食材の水分を脱水したり、食材の「起泡性」を助けたり、「親水性」を利用して「防腐効果」を高めたり、と色々な役割があるからです。

ですから、調理途中に入れる調味料は、ほとんどが「調理に必要」な調味料なので、ここを減らしたり無くすと仕上がりが変わります。

レシピ本などは、紙面上の字数制限などがあり、この辺りの「調味料の役割」が説明されていないことが多く、「塩分量」や「糖質量」を気にして減らしてしまい、失敗することがあるのだと推察されます。

では、料理の「出来上がり」に最も影響を与えるタイミングはどこか?と言うとやはり最後に入れる調味料なんです。

①素材の味に②調理で生まれる味が加わった後に、加える③調味料の味が、どうしても出来上がりを左右します。

だから、レシピの最後によく(そして頻繁に)

塩・胡椒で味を「整える」

と言う一文が入っているのですね。

そう、味は「整える」ものなんです。

いくら完璧にレシピ通りの素材を用意したと思っても、野菜や果物、肉や魚は厳密には完全に同じ味のものなど1つもありません。
だから、最後に「整える」作業が必要なんですね。

お料理が苦手な方、もしかしてレシピを信用し過ぎて「味見」をしていない方もいらっしゃるのでは?

レシピはあくまで「レシピ執筆者」の決めた味。
食べるあなたの好みとは塩梅が違うことも往々にしてあるのです。

もちろん、味見をして好みの味になっていれば整えなくてもいいのです。
整えるためには味見が必要です。
(お菓子やパン、一部の料理は仕上げで味見の出来ない場合もあります、その場合は仕上げの手前で調味料を入れられる最後のタイミングで味見して下さい)

これを知って実践するだけで、料理の腕が一段上がるはずです。
是非お試し下さいませ。

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