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1、何を、どのくらい食べればいいのか知っておく

「衣・食・住」の言葉通り、人間が生きていくためには、暑さや寒さから身体を守る衣服、1日3食の(またはそれに準ずる)食事、雨風をしのぎ安心して過ごせる住居の3つが必要です。

その中でも、食事は毎日毎食または空腹の度に訪れる生命に直結する行為だと思います。
人は何かしらかの食べ物を食べなければ生きていけないからです。

この記事は「我が子が家を出ていく「その日」までに伝えたいこと」と題した連載記事の一部です。是非マガジンのフォローをお願い致します。

80歳まで生きたとして1日3回食事をすると、生涯食事回数は87,600回、人生100年時代にもなれば約11万回も食事をすることになります。

その人生で摂る食事のうち、幼少期から少年期、つまり1/4〜1/3を家族に依存していますが、残りの2/3〜3/4は親元や家族と離れて(=自立して)自ら賄わなけばならなくなる時がいずれやって来るでしょう。いつかやって来る、我が子が家を出て行く(=自立する)「その日」(家族との死別や離散等も含む)です。

「その日」が来るまでのこの家族に依存している期間に、食べることに困らないために、今から少しずつ、必要なことを伝えておきましょう。

料理が出来れば食に困らないわけではありませんし、料理が出来なくても食べなくては生きていけません。知っておいて損なことはありません。

何を、どのくらい食べたら良いのか、を知っておく

毎日の栄養バランスの良い食事の指標として、平成17年6月に厚生労働省と農林水産省から「食事バランスガイド」が発表されています。

この食事バランスガイドは1日に「何を」「どのくらい」食べればいいのかを示した指標ですが、具体的には「主食」「副菜」「主菜」「牛乳・乳製品」「果物」の5つのグループを万遍なく、コマの形になるような量の配分で食べるとバランスの良い食事になる、と言うものです。

具体的には
・主食 5〜7
・副菜 5〜6
・主菜 3〜5
・果物 2
・牛乳・乳製品 2
の割合で摂ることを推奨しています。

※活動量の低めの成人男性または中以上の女性を対象とした摂取目安量
※以前あった「1日30品目」の目安は、特に科学的根拠があったわけではなく、量的な目安が無いため今は削除されているようです。

こう見ると、確かに理想的な食事に見えますね。

でも、毎日このガイドを活かしてバランス良く食事を用意出来る人がどれだけいるでしょうか?

1日の目安なので、毎食このガイドに準拠した食事にする必要はありませんが、それでも1日3食でこれを上手く網羅するのはなかなか難しそうです。
子供向けのサイトもありますが、残念ながら簡単にわかるとは言いにくい仕上がりです。

では、もう少し簡単な指標はないのでしょうか?

教室のレッスンの献立にも利用している「一汁三菜」や「一汁二菜」、「一汁一菜」と言うのもありますね。
比較的昔から使われている言葉です。
「汁」はみそ汁やスープなどの汁物、「菜」はおかず、と言う意味です。
一汁二菜なら、汁物1品におかずを2品、と言う意味ですね。

食事バランスガイドの「主食:副菜:主菜:牛乳・乳製品:果物を5:4:3:2:2で摂る」からすると、ずいぶん分かりやすくなった気がします。
ただ、献立を立てるときにはわかりやすいのですが、「菜」の一文字だけではザックリし過ぎていてちょっと偏ってしまいそうな気もしますね。

子供に説明するのに1番わかりやすいのは、学校給食の献立表にも採用されている「三色食品群」と言う分類ではないかと思います。
きっとほとんどの方がご存知だと思います。
食事のメニューを主な栄養成分による働き別に「黄赤緑」の三色に分類し三色揃える、と言うものです。

黄(主食) … 熱や力になる(炭水化物、油脂)
赤(主菜) … 体を作る(タンパク質)
緑(副菜) … 体の調子を整える(ビタミン、ミネラル)

摂取量の目安は分かりませんが、視覚感覚的にわかりやすいので、毎食の管理としては1番実用的かなと思います。

お弁当作りなどでよく言われるのは

主食:主菜:副菜 = 3:1:2

つまり、主食とおかずは同量で、おかずの内訳が主菜1:副菜2です。
5種類を考えるよりも、3種類の方が簡単そうです。これなら毎日の食事に取り入れられそうですね。

それでも、病気で具合が悪かったり、仕事で疲れていたり、気持ちが落ち込んでどうしようもない時はそれでも難しいかもしれません。

そんな時は、土井善晴先生の提唱する「一汁一菜」です。

ご飯に、汁物とおかずが何かあれば、それで十分。毎日完璧にバランスの整った食事をしなくても、数日かけてつじつまが合えばそれで十分です。
汁物に野菜、おかずに肉、魚、豆腐などがあれば三色食品群的にもOKです。

それも無理なら最後の手段は

「海のものと山のもの」

です。
これは、黒柳徹子さんの自伝的著書『窓ぎわのトットちゃん』に出てくる巴学園の校長先生がおっしゃっていた言葉です。
作中で、1番簡単な「海のものと山のもの」の例として「梅干おにぎり」が挙げられていました。おにぎりの海苔が「海のもの」、梅干が「山のもの」です。

戦後の食糧難の時代に、とても端的にわかりやすく栄養バランスを取れるように考えられた大好きな言葉です。

「海のもの」は魚や海藻などからタンパク質やミネラル、「山のもの」は野菜や果物から炭水化物やビタミンなどが摂れると考えられますね。

海と山だけでも、足りないものがあれば、校長先生の奥様が足りない方のおかずを大きなお鍋から分けてくださる、そのシーンもとても印象に残っています。

小学生の頃の国語の教科書に掲載されていた『窓ぎわのトットちゃん』の中の「畠の先生」を習った後、自分で本を買って他の章も一気に読みました。懐かしい思い出です。

少し話が逸れましたが、私は栄養士ではないので、毎日の食事が無理なく、心身ともに健やかに続くことが最重要だと考えます。
色々なことがしんどい時には「海のものと山のもの」の食事でもアリだと思います。

「出来ない時には無理をしなくていい」

そう伝えることだって、生きるための知恵なのです。
理想的な栄養バランスを叶える指標をどれだけ知っていても、実践できなければ「絵に書いたもち」です。

元気になって精神的にも経済的にも身体的にも出来る範囲で、今日と明日を生きる糧を考えれば、それで良いのです。

まずはそこから、始めましょう。


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