"井上尚弥"という衝撃。

プロボクサー井上尚弥選手。
名だたるボクサーには二つ名のようなものがある。
古くは"石の拳"ロベルトデュラン。
"ゴールデンボーイ"オスカーデラホーヤ。
"money"フロイドメイウェザーJr。
"パックマン"マニーパッキャオ。などなど。

そんな中、井上尚弥選手は
"Monster"とも呼ばれる。
まさにMonsterだ。
めちゃくちゃザックリ書いていくと
高校時代アマチュアで7冠。
プロ転向後6戦目の2014年4月にライトフライ級(108ポンド約48.9キロ)で世界王座獲得。
防衛戦を行うも減量苦になり
その後2014年12月の8戦目で一気に2階級上げてスーパーフライ級(115ポンド約52.1キロ)で世界王座に挑む。

タイトルにもある
"井上尚弥"という衝撃。
このプロ8戦目。
減量苦から解放されたスーパーフライ級での初戦である
"オマール・ナルバエス戦"が数多くのボクシングファン、
そしてライトな層(ライト級もあるからややこしい表現)の僕にもとてつもない衝撃を与えた。

井上尚弥選手は階級を上げることを決断しフライ級、フライ級でも減量がキツいならスーパーフライ級でもやることを考えていた。

※ボクシングの階級について少し。
階級は17階級あり例えば「どまり級」があるとしたら
ライトどまり級<どまり級<スーパーどまり級、
みたいな感じです。

井上尚弥陣営は2014年末に試合をするというプランを立て、
フライ級の王者のレベコという選手と交渉したもののレベコが秋頃に防衛戦を控えておりギリギリの交渉に。
レベコ側のマネージャーが1つ上の階級である
スーパーフライ級の王者ナルバエスのマネージメントもしていたので「ナルバエスならいけるで!」みたいな話もでていたそうな。
更にレベコが怪我をし秋に予定していた試合が流れる事に。

「ナルバエスならいけるで!」と聞いていたので
井上尚弥選手、トレーナーである井上尚弥選手の父に「ナルバエスならいけるらしい。。どうする?」と大橋ジムの大橋会長が問いかける。

というのもナルバエスはフライ級で王座を16度防衛し返上して階級をスーパーフライ級に上げ、
そこでも11度防衛していた。
まさに生きる伝説といった軽量級伝説の王者といった存在だった。

2人の答えは「やる!」
大橋会長も腹を括った。

そしてライトフライ級からフライ級を飛ばし一気に2階級あげてのスーパーフライ級編がスタートする。

言っておくがナルバエスはマジで強い。
その当時は"フィリピーノフラッシュ"ノニトドネアにバンタム級で挑んで負けた1敗のみ。
※このドネアも後に井上尚弥と交わる

ナルバエスは井上尚弥戦の時点でダウン経験もない。1度もない。
ハッキリ言って時期尚早だという声もめちゃくちゃあった。
僕も見ていて「ライトフライ級でも強いは強いけど、、」くらいの感覚で見ていたので
スーパーフライ級初戦でナルバエスはヤバすぎるんじゃないかとマジで思った。

しかし、、、、2014年12月30日。
そんな声も、そしてナルバエスごと吹き飛ばすような恐ろしい試合が。

赤コーナー。
リング上でコールを受けながら息子が高々と世界王座のベルトを掲げ、貫禄を感じさせる王者
オマール・ナルバエス。

そして青コーナーに挑戦者として
リングに上がった井上尚弥選手の肉体は、、、

エネルギーに満ち満ちていた。

ライトフライ級とは全くの別人だった。
ボクシングは前日計量で試合当日には減量のリカバリーで数キロ(人によるので一概に何キロとは言えない)戻して試合に臨む。

にしても。にしてもだ。
ライトフライ級の時とは肉体も違うし、顔も違ったように見えた。
本当にエネルギーが満ち満ちている※2回目

そして1ラウンドが始まり、30秒立つか立たないかくらいで衝撃の出来事が。
ナルバエスの顔面を狙ってパンチを打ち込む井上尚弥選手。
ナルバエスはガード。
ガードはした。
したのだが、。

ガードしているナルバエスが後ろに倒れダウン。
ナルバエスのキャリア初のダウン。

しかもナルバエスはガードしている。
ガードしているのに耐えきれずダウン。
凄まじい光景だった。

更に30秒近く経過した1ラウンド残り2分ごろ。
パンチがナルバエスの頭をかすめ2度目のダウン。
ナルバエスは立ち上がるが1ラウンド目は耐え忍ぶ形で切り抜ける。

めちゃくちゃザワザワしている1ラウンド後のインターバル。
テレビで見ていても「これやばくない?これやばくない?凄い試合じゃないか???」と1人で興奮していたので現地観戦勢はもっともっと興奮していたと思う。
そのザワザワはテレビ越しに伝わった。

そして、、2ラウンド。
ナルバエスも積極的に打ち込むのだが井上尚弥の容赦ないカウンターがくる。
どう見ても井上尚弥が優勢。
2ラウンド1分40秒近く経過した時に井上尚弥の左カウンターがナルバエスを捉えダウン。

ナルバエス3度目のダウン。
フライ級16度防衛、スーパーフライ級11度の防衛、ダウン経験なしの王者が開始2ラウンドで3度目のダウン。

しかし、ナルバエスは立ち上がる。
ダメージはありそうだが、まだ耐えれそうな感じはあった。
1つ目はガード越しの顔、2つ目はかすめたパンチ、3つ目はカウンターが顔に。

ここで恐ろしいパンチがナルバエスを襲う。
2ラウンド残り30秒近くで井上尚弥がナルバエスのボディにパンチを打ち出す。
この試合、ここまでボディはそこまで炸裂していなかった。
怯むナルバエス。
井上尚弥の左ボディがナルバエスを捉える。
鈍いとも思える音。
そして2ラウンド残り10秒近く。
同じパンチがもう1発ナルバエスのボディに炸裂。
コンマ1秒耐えたかと思われたナルバエスが苦しみながらダウン。
4度目のダウン。

そして、、、
ナルバエスは立ち上がれなかった。

喜びを爆発させる井上尚弥。

試合前は誇らしげな顔で父のベルトを掲げていたナルバエスの子供は号泣。

えぐいコントラストだった。

ナルバエス陣営は
「ナルバエスがあんなにダウンするわけないだろ。お前らグローブに何か仕込んでるだろ。今ここでグローブを外せ。」と井上尚弥陣営に要求。

当然何も仕込んでいない井上尚弥陣営はリング上でグローブを外し何もなかったことを証明する。

それを見たナルバエス陣営は
「グレートなニューチャンプだ」と井上尚弥を称えた。

衝撃的なスーパーフライ級初戦。
2階級制覇を達成した試合だった。

ここまでで2500文字近く。

"井上尚弥"という衝撃
というタイトルで書いたけど
2014年末には井上尚弥というボクサーのベストバウトを見たつもりでいた。
これは2014年末の僕が書いたと言っていい。

その後、井上尚弥は衝撃を見せ続ける。
スーパーフライ級ではまさに無敵。
調整に苦しみ判定にもつれた試合もあったが4度目の防衛戦の河野公平戦くらいからは無双したと言って良い。
強すぎるあまり本当に対戦相手がいなくなり、、

スーパーフライ級は2017年12月30日
ナルバエス戦から丁度3年後。
ヨアン・ボワイヨ戦を持って完結する。

そして1つ上の階級である
バンタム級(118ポンド約53.5キロ)で3階級制覇を目指す、、、

割とバンタム級からはメディアの注目も凄まじくなり個人的にはドラゴンボールで言うとナメック星、
ワンピースならアラバスタくらい誰がどう見ても面白いため、

あえてその手前のスーパーフライ級編、その初戦を取り上げてみました。

もう9年近く前なんですね。
ひゃーーーーーーー。と時の流れに恐怖を感じてしまったので
この記事を終えます。

今はバンタム級編終わって
スーパーバンタム級編を井上尚弥選手は連載しているよ。

リアルタイムで追うにはまだまだ間に合います。

ではでは。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?