辞書を読む
今回は再び辞書の話です。
辞書を引くことを「意味調べ」だと思っている人がかなりいるようです。意味調べでよいということから、辞書の代わりに単語集を使う人も少なくないようです。
辞書代わりに単語集を用いることの問題点は単語の知識が文法の知識とつながらないということです。語彙知識と文法知識がつながらないということは、その語を文の中でどう使ったらよいかがわからないままになってしまうということです。
語彙知識と文法知識は関連を持たせなければなりません。語を知るために必要なものは、断片的な訳語だけにとらわれない語の「意味」、品詞、そして意味や品詞から導かれる文法的性質と、それが反映された例文です。さらに発音・アクセント・イントネーションといった音声情報も重要です。これらを知るためには、辞書を「読む」必要があります。
このような辞書の「読み込み」に使う辞書は、紙の辞書でも電子辞書でもかまいません。「読み込み」がときに「読み比べ」によってさらに深いものになるということを考えれば、両方を併用することが理想です。最近では辞書のアプリを活用するのもよいでしょう。タブレットで辞書アプリを使えば大きな画面で紙の辞書以上の視認性が得られます。
この作業を私がふだんから紹介する文法学習に位置づけるとすると、理解した文法知識を例文で確認していく段階で主に行うことになります。文法学習を一通り終えた後の精読でもこの作業が必要です。文法知識と結びついた語彙知識が生きた語彙知識となるということを常に意識して辞書を活用するようにしましょう。
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