見出し画像

大学受験生の12月

この時期の学習戦略について

12月になりました。共通テストまで50日を切りました。この時期になると、「冬期講習や直前講習を受講すれば直前対策はなんとかなるのではないか」と考える受験生が多いようです。結論から言うと、そういうことはありません。冬期直前講習といえども、普通の授業です。そこにはいつもの1コマぶんの学習効果があるだけです。

前にもnoteの記事に書きましたが、受験勉強はいつから始めてもやるべきことは基本的に同じです。やらなければそのぶん取れる得点が少なくなるだけです。直前期の駆け引きとして考えられるのは、入試本番でどこまで失点できるかということになります。つまり、満点を取らなくても合格できる入試において、満点を取る目指すことを放棄したとして、果たしてどこまでの失点であれば合格圏内にとどまれるかを考え、その範囲での学習戦略を立て、実行していくことになります。この段階で、難度の高い入試問題で高得点を取らなければ合格できない大学ほど、対策が困難になるわけです。

抜け落ちた学びを拾う機会について

もう少しマクロな視点で見てみますと、これまでもやってこず、これから入試までもやらない勉強はいつやるのかという問題が残ります。これを放置すれば就職活動や就職後においても、ずっと「能力差」として残ります。英語が読めないまま大学に入っても、在学中に自然に英語が読めるようにはなりません。英語が読めると読めないとでは得られる情報が違います。また、大学の授業で英語の本を読む必要が生じた時に、読めない学生はそこで授業についていけなくなる可能性もあります。もちろん大学にも英語の授業はありますが、入学時の英語力によってクラス分けをしますから、英語ができないひとができる人との差を埋めるには相当な努力が必要です。英語ができる人はできない人が英語の学習に時間を割いているあいだに、ほかの専門的な勉強をすることもできますから、そこでも差が付きます。

次善の戦略としての「浪人」

長い人生ですから、勉強はいつやり直してもよいと、私は思います。しかし、新卒一括採用や終身雇用がいまだに根強く残る、依然として閉鎖的な社会では、そうした学び直しの機会が十分に得られないのが現状です。この状況が続く限り、大学受験浪人は基礎学力を身につけるための猶予を得るという点で、意味があるものであると認めざるを得ません。特に国公立大学を第一志望にしている受験生は、不本意に私立大学に入学してしまうよりも、一年浪人して狙った国公立大学に入学したほうが、親御さんの負担も軽くなる場合があります。そして入学前に基礎学力が身についているほうが在学中の4年または6年間を有意義に過ごせます。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?