見出し画像

「丸暗記」について

言語学習において、「丸暗記」を巡っては賛否両論があります。ただしこの議論は非常に目の粗いものとなっていて、感情論の域を出ていない場合がほとんどです。

「丸暗記」は、何かを記憶する時の方法のひとつです。知識の記憶を意識的に行うのが「暗記」という行為です。暗記によらずとも記憶する方法はあります。ことばの場合は使っていくうちに自然に記憶に定着することも普通にあります。そして「暗記」のうち、覚えるべき知識に分析を加えることなくそのまま覚える行為を「丸暗記」と言います。

知らないことばは使うことができません。ことばを「知っている」というのは記憶の中にことばの知識が存在する状態を言います。つまり、ことばを学び、使うには記憶は絶対に必要なのです。問題はその記憶の手段としてどのようなものを選択すべきか、ということと、記憶すべき知識は何か、ということです。

先に記憶の対象について申し上げますと、ことばそのものです。文法知識はことばそのものではなく、ことばを説明することばです。文法知識は何のために学ぶのかというと、ことばを分析して学びやすく、使いやすくするためです。ことばは使っていくうちに記憶に定着しますが、これを自然に委ねるのではなく意識的に行うために暗記するわけです。受験英語のように期間限定で集中して学ぶ場合には暗記は非常に効率的な記憶法ということになります。英語そのものを暗記する場合、単語を1語ずつ覚えたり、例文を覚えたりしていきます。これを丸暗記でいくのか、分析的にやっていくのかを選択することになります。そして分析的にやっていく場合には文法知識が必要で、この文法知識の学び方についても丸暗記なのか、分析的なのか、分析的手法の場合、感覚重視なのか論理重視なのかといった分岐も出てきます。

これを自分の頭の働かせ方の傾向を踏まえて主体的に選択して学習を進めていくことになるわけです。ここが先日お話しした「個に応じた受験英語」につながるのです。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?