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文法学習のデザイン

今回は、文法項目ごとに文法を学ぶときの心得のようなお話です。特定の文法項目を取り出しながら学んでいく方法は、その文法項目に意識を集中させて学べるという点で効果的ですが、実際の文は単一の文法項目だけで成り立っているわけではありません。このことを踏まえてどのように文法学習をデザインするかが問題になります。

英語の文法を学んでいく場合、一般的に次の2つの条件のもとで学んでいくということを確認していく必要があります。ひとつは、英語には日常生活でほとんど触れていないということ、もうひとつは、日本語の文法は意識こそしていないものの、日常会話が不自由なくできるくらいの知識身に付けているということです。

ここから、英文法学習の初期の段階では、短い英文を学習対象として未習の文法項目が極力気にならないような形で学んでいくことが効果的です。このときに日本語と英語との比較対照で英語の、そして日本語の基本的な文のしくみを学んでいきます。日本語と英語との比較対照は積極的に行っていきます。英語に特有のしくみであっても、まずは日本語と英語との隔たりが大きい部分であることを認識してからのほうが理解しやすくなります。

学習が進んでいくにつれて、徐々に長い文も学習対象に取り入れていきます。こうすると、既習の文法項目も英文のなかに含まれるようになります。そうした文を見て理解や表現に不安を感じるのであれば、躊躇せずに過去の学んだ文法項目に戻って復習していきます。文法学習は、進行していくにつれて学習内容が累積していくのです。次の文法項目に移ったらそれまで学んだ文法項目をリセット、というのでは発展性がありません。

もちろん、この過程で少しずつ文法知識が定着していきますから、一度に大量の知識を覚えなければならないということにはなりません。大切なのは、「文法項目を一通り学ぶ」ということは、「一通り」であるように見えて実はそこに反復学習が仕組まれているということであり、反復できるような形で文法学習を進めていく必要があるということです

『ゆっくりとしっかり学ぶ英文法』の章立ては、ここでお話ししたことを踏まえたものです。


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