結局何技能で学ぶの?
一般の方がどこまで議論を追ってくださっているかわかりませんが、言語教育の世界では、早期英語教育の充実を訴える方、まずは日本語力の養成をと主張する方、中国語や韓国語などの隣接言語をはじめとする日英語以外の言語に触れることの大切さを唱える方など、さまざまなお考えをもった方々がいらっしゃいます。英語を学ぶにしても、4技能を満遍なく学ぶべき、まずは音声から入るべき、いや日本にいる限りは読み書きのほうが重要だ、などさまざまな意見が飛び交っています。
では、学習者の側からは、今後どのような姿勢で学習に臨んだらよいのでしょうか。結論からいうと、最終的には必要な言語の必要な技能しか伸びないし維持もできない、ということを念頭に置いて学ぼう、ということです。未来のことなんて簡単に予測できませんから、スピーキング、リスニング、ライティング、リーディングを一通り学んでおくことは大切ですが、そのうちに必要性の高いものに学習の労力が費やされていくようになります。
ただし、もうひとつ知っておくべきことは、たとえばリーディングだけ身につけるためにリーディングだけやっていても、学習効率は必ずしも良好とは言えないということです。大人が日本語で生活する場合は音声言語と書記言語がまったく別に存在しています。これは表語文字である漢字が常用漢字だけでも2000字以上もありますから当然のことです。しかし英語などのヨーロッパの言語では音声言語と書記言語がもっと近い関係にあります。日本語でも、小学生が国語の教科書を毎朝音読すると国語力が向上するといわれていますが、表音文字しかもたない英語ではその効果はさらに大きなものになります。
すでに高校を卒業してしまっている方は、やりたいところ、あるいはやる必要があるところから英語の学習を始めればよいでしょう。中学生や高校生は、いろいろな学習機会をとりあえず生かそうと心がけてみればよいでしょう。必要性や興味があれば続けることになるでしょうし、そうでなければそうでなくなるかもしれません。それでよいのです。外国語ですから。受験の英語学習はそうした学習の基盤でありたいと考えています。
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