最後まで闘い続けた者たち M-1グランプリ ラストイヤー戦績調査
M-1グランプリは伝統的に結成年制限があります。2010年までは結成10年、2015年に再開してからは結成15年以内の組にだけ参加資格があります。参加資格ギリギリで翌年には出場権を失う組は「ラストイヤー」と呼ばれ、時に注目されます。
しかし、ふと思いました。テレビでラストイヤーと注目されるのは決勝進出者か、せいぜい敗者復活戦に出場する組くらいです。つまり、数多くいる芸人の中でも本当にトップのほうだけなんです。ただひたすらに挑み続け、人知れずラストイヤーを迎えた人たちもいるに違いありません。今回はそんな方々を調べてみました。ラストイヤー組の戦績調査です。
というわけで、M-1グランプリ公式サイトのコンビ情報を用いて、2015年以降にラストイヤーを迎えた組の結果を一通り調べてみました。以下、注意点を書いて参ります。
まず、そもそもがラストイヤーの定義が曖昧で、解釈が主に次の2パターンに分かれます。結成年から単純に15年を足した年をラストにするパターンと、予選開始時または予選参加時に15年以内かどうかで判断するパターンです。
M-1グランプリの予選は通常、8月に始まります。2007年7月に結成した組の場合、2022年8月の時点で結成15年を過ぎてしまいます。ここでM-1グランプリ2022に参加するかどうか、どうやら組によって異なっているようです。運営側としてはどちらでもいいようで、実際に2002年7月結成のとろサーモンは2017年に優勝しています。組によっては結成年しか分からない場合もあるため、このような措置になっているのかもしれません。
上記の理由により、ラストイヤーに1年の幅があります。そのため、数字上は1年早く参加をやめてしまっている組がチラホラいる。例えば、2002年結成の組でも2017年まで参加している組と2016年を最後にしている組がいるわけです。そして、これがまた厄介なところなんですが、例えば、2016年を最後にした組は同年が本当にラストだと思って翌年に参加しなかったのか、「来年も出れるけどもういいや」と思って2017年の参加を見送ったのか、区別がつかないのです。
仕方がないので数字上1年早く参加を取りやめた組は、最後に参加してから翌年、つまり本当のラストイヤーまでの間に解散をしていない場合に限り、最後に参加した時の戦績をラストイヤーの記録とします。例えば、2002年結成の組ならば、2016年が最後の参加だったとしても、2017年のM-1開催までに解散していなければ2016年の記録をラストイヤーの戦績と見なします。ラストイヤー以降に解散した組に関しては、あくまで当時の記録ということで、そのまま載せてあります。
アマチュアに関してはその辺をゆるく判断しまして、ラストイヤーの1年前しか記録が残っていない場合でもラストイヤーの記録としてカウントしました。判断基準がプロと異なるため、アマチュアはアマチュアと分かるようまとめました。
予想以上にラストイヤーの説明が複雑になってしまいましたが、お分かりいただけましたでしょうか。それでは、2015年がラストイヤーの2000年結成組から2021年がラストイヤーの2006年結成組まで順に紹介して参ります。
一覧に不思議な点がいくつかあったので、補足説明をします。
まず、ほぼ同名のコンビがいます。「ひでまん しげまん」と「ひでまんしげまん」です。コンビ名だけでなく、メンバーのプロフィールも一緒です。ただし、「ひでまん しげまん」は2003年9月結成、大会には2015年から2017年にかけて参加しています。一方の「ひでまんしげまん」は2004年9月結成、大会には2018年から2019年にかけて参加しています。ちなみに2019年の記録は1回戦欠席となっています。
続いて、2002年結成のアマチュアコンビ、ラーウィーメンは何故か2018年にだけ参加しています。記録は1回戦欠席です。
また、2005年結成のアマチュアコンビ、耕二耕三はラストイヤーもエントリーはしたものの、どの予選日にも参加していません。1回戦は当日に欠席をする組がちらほらいますが、耕二耕三は当日欠席すらしていないのです。また、他にも、1回戦は通過したものの2回戦に参加していない組が2組ほど存在しますが、理由は不明です。
以上、不思議な点でした。続いて、全体の傾向についてです。
まず、ラストイヤーとは言え、予選の早い段階で敗退する組が多い傾向にありました。アマチュアは1回戦、プロは2回戦に最も多く見られました。この辺りはプロの面目躍如といったところでしょうか。同時に、年数を重ねても成績が振るわない組が多い点からも、M-1は厳しい大会であると改めて感じます。
また、ラストイヤーまでM-1に出続ける組自体もかなり限られている印象がありました。つまり、ラストイヤーまでに参加をしなくなったり、解散してしまったりしている組が結構いる。例えば、2015年以降のM-1に参加経験のある2006年結成コンビは67組ですが、そのうちラストイヤーの2021年または2020年まで参加し続けたのは26組です。ちなみに、2021年大会に参加した2021年結成の組は2896組です。このように15年も同じ相方と漫才をする難しさが数字にもハッキリと出ています。
最後に、今年のM-1でラストイヤーを迎える組のうち、2021年も参加した組を紹介します。各戦績は2021年のものです。
著名な組が結構いますね。上位陣が栄冠を勝ち取るのか、それとも意外なラストイヤー組が現れるのか、期待して待ちたいと思います。長い報告でしたが、ここまで読んでいただき、ありがとうございました。
追記(2023,12,26)
2023年版も作ってみましたので、宜しければこちらもご覧くださいませ。
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