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題名読書感想文:37 どんな職業も、なりたいと思う人がいる限りは

 本の題名を見ただけで読書と思い込み、感想文を書く。それが題名読書感想文でございます。

 今回のテーマは「なるにはBooks」です。なるにはBooksとは、ぺりかん社から発売されている、特定の職業になりたい人へ向けて出版されているシリーズでございます。題名が「〇〇になるには」となっているため、なるにはBooksというシリーズ名になっているのではないかと思われます。

 このなるにはBooks、既に100冊を余裕で超える人気シリーズとなっています。他にも「〇〇で働く」シリーズや大学の学部を解説したものなどがあり、恐らくぺりかん社を代表するシリーズのひとつとなっていると思われます。

 世の中には膨大な種類の仕事があるとは言え、100冊も超えていれば世間ではあまり知られていない職業の本もあるでしょう。そういう職業こそ、なりたくてもどうやってなればいいか分からないし、そもそも誰に聞けばいいかも分からない。そんなところに颯爽と現れるのが、なるにはBooksです。まさに、痒い所に手が届く本と言っていい。

 今回はそんななるにはBooksの中でも、個人的に気になったものを選んでみました。

 まずは「お笑いタレントになるには」です。

 もう当たり前のようにありました。ただし、発売は1999年でございまして、それゆえか現在は出版社でも品切れている商品のようです。なるにはBooksにはこのように何らかの理由で品切れている商品もございますが、今回は品切れ中の商品も含めてご紹介いたします。

 さて、1999年と申しますと、お笑いの養成所も今ほど多くなく、芸人への道が限られていた時期でございます。発売当初は役に立ったのでしょうけれども、今となってはかなり古い情報と言わざるを得ません。もし再販されるにしても、改訂版として内容を大きく変更して発売されると思われます。

 また、「お笑いタレント」という名称も時代を感じさせます。もちろん、お笑いの方がタレント活動をするのは現在も同じですが、そのような方々は今は「お笑い芸人」と呼ぶのが一般的になっていると思われます。ちなみに、「お笑いタレント」から更にさかのぼると、「コメディアン」「漫才師」「喜劇役者」なんて名称がよく出てくる時代になるようです。

 このように、時代によって職業や肩書の名称が変わる場合がございます。例えば、「スチュワーデス・スチュワードになるには」です。

 スチュワーデス・スチュワード。もはや聞き慣れない言葉になってきましたが、要は客室乗務員、いわゆるCAですね。そのため、題名も現在では「客室乗務員になるには」に変わっています。

 名前が行き来しているタイプもございまして、それが「鉄道員になるには」です。

 こちらは1978年発売の商品のようです。これを読んで鉄道員を志した方は、そろそろ定年後を考える年齢になっているのではないでしょうか。なるにはBooksの歴史の長さを感じさせます。

 この題名が1989年には「鉄道マンになるには」と改称され、新版として発売されます。

 1998年に改訂された際も同じ「鉄道マン」として発売されます。

 これが2015年には再び「鉄道員になるには」と再改称され、現在に至ります。

 このように、時代によって題名を変えながら改訂しているものもございます。

 時代によって分離する場合もございます。例えば、「言語聴覚士・視能訓練士・義肢装具士になるには」です。

 発売は2003年でございます。当時はこのようにみっつの職業をまとめていました。しかし、現在はそれぞれ独立しています。なるにはBooksシリーズは通し番号が振られていて、上記の本は113番となっています。その113番は「言語聴覚士」が引き継ぐことになりました。

 そして、新たに「義足装具士」を146番目のなるにはBooksとして独立させ、

 「視能訓練士」は150番目のなるにはBooksとして誕生しました。

 いきなり名称の変遷を追うような形になってしまいましたが、もちろん「こんなものもあるの?」というなるにはBooksもございます。例えば、「宗教家になるには」です。

 アマゾンの書籍説明によると「仏教や神道、キリスト教、イスラム教、新宗教まで」カバーしているようです。伝統的なものに従事したい人から、新たに立ち上げたい人まで、宗教家になりたい人を幅広くフォローしているものと思われます。

 「伝統芸能家になるには」というものもございます。

 「伝統芸能家」とは何ともぼんやりとした表現ではございますが、アマゾンで確認する限りは「歌舞伎・能・文楽」とのことです。伝統芸能でも割とメインどころをカバーしているようです。ひょっとすると、こちらも今後はみっつに分けて出版されるかもしれませんね。

 ちなみに、その他の伝統芸能は、別の本として発売されているようです。例えば「講談師・浪曲師になるには」です。

 アマゾンの説明で「時代の流れで娯楽の中心から遠ざかったが若手の台頭もあって今、復活の兆しを見せている」と書かれているように、「いま本を出せば売れるんじゃないか」と判断すればバシッと発売する。そんな判断の速さと行動力の旺盛さを感じさせる1冊です。

 当然、新しい仕事もカバーしてまして、「特殊効果技術者になるには」がそれに該当します。

 2024年発売の本でございまして、まさに今、時代を反映している本と言えます。アマゾンの説明には「VFXスーパーバイザー、特殊メイクアップアーティスト、特撮美術、CG制作者、パイロテクニシャン」と、近年になって現れ、影響力を増してきた職業が目白押しです。

 「ここまであるのか」の個人的な極致としては、「杜氏とうじになるには」があります。

 杜氏とは、日本酒の醸造をおこなう方々のことです。日本酒を作る方ですね。

 その歴史は長く、そもそも日本人がお米でお酒を造り始めたのがいつ頃からなのか、昔過ぎてよく分かっていないようです。

 とにかく手広いなるにはBooks、「冒険家になるには」も当たり前のようにございます。

 確かに、冒険家なんてどうすればなれるのか、どうやって生活して行くのか、分かりそうで全然分かりません。こういう本が1冊あるだけでも、目指す人にとってかなり心強いと思います。

 最後は打って変わってこちら。「パン屋さんになるには」と「花屋さんになるには」です。

 100冊を優に超えるなるにはBooksの中で、さん付けの職業はこのふたつだけなんです。一体どういう理由なんでしょう。幼いお子さんも「なりたい」と思う職業だからなのでしょうか。ならば、「お巡りさんになるには」があってもいいと思うのですが、そちらは「警察官になるには」なんです。

 一体どういうことなのでしょうか。よく分かりませんが、どんな職業でもなりたいと思う人がいる。そんな人がいる限り、なるにはBooksは新たな本を出し続けることでしょう。

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