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shinsukesugie
皮膚科医、目覚める
ストレスが肌に出やすいんです。一時期は仕事のストレスがひどく、肌が荒れたり足に謎の湿疹ができたりしたので、長らく皮膚科に通っておりました。
その皮膚科は雑居ビルの一室にありました。そこの先生が本当にいい方でした。質問にも丁寧に答えてくれましたし、ストレスが原因のひとつだと教えてくれたのも先生でした。転職をしてストレスが軽減され、先生に教わった通りに肌のケアをした結果、かなり調子が戻ってきました。すると先生は言いました。「星野さんはもう来なくて大丈夫だよ」。つまり、卒業です。
とは言え、ひどい時には肌が痒くて夜も眠れなかったほどです。卒業してからもストレスや肌の調子には気を配っていました。お陰で現在に至るまで状態は安定し、皮膚科は遠のくばかりです。そんなある日、私がGoogleマップで近所を調べていると、たまたま例の皮膚科がある区域に差し掛かりました。当然、その皮膚科の名前もマップに出ていたのですが、そばにこんな文字が添えられていました。「閉院」。
一体どうしたことでしょう。先生の年齢は聞きませんでしたが、見た感じ、まだまだ全然働けそうでした。では、何か別の都合でしょうか。私にはよく分かりませんが、長いことお疲れさまでしたと言いたい気持ちにはなりました。
それからしばらくして私はふと気になりました。あの皮膚科の跡地はどうなっているのだろう。どうせ近所です。用事のついでに皮膚科のあった雑居ビルに行ってみました。入口を見て何が入っているのか一発で分かりました。そこそこ名の知れた新興宗教の事務所だったんです。
あの先生が何かに目覚めて思い切った転職をしたかのように見えましたが、多分違います。
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