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M-1グランプリ2022敗者復活戦感想
2022年12月18日放送のM-1グランプリ敗者復活戦を拝見したので、感想を書いて参ります。感想はネタ順に書いておりまして、敬称略となっています。ご了承ください。
では、早速参ります。
1.シンクロニシティ
使える五十音を限定させて会話をしようとするネタです。
非常に特殊なシステムでありまして、それを徐々に発展させていく形式となっています。特殊なシステムのため、いかに素早く観客に理解してもらうかが重要でありますが、非常にシンプルなチュートリアルを採用することで観客の理解を得ると共にウケも取り、効率の良さが光っています。
2.ママタルト
マクドナルドに行って注文するネタです。
オーソドックスなテーマであり、ストーリー進行に沿ってボケとツッコミを繰り返していくという、比較的王道的なものにはなっています。ただ、動きがあり、ミュージカル調あり、ボケとツッコミの切り口も多く、退屈させない工夫が随所されています。
3.からし蓮根
キッザニアで警察官をやってみるネタです。
こちらもコントのストーリーに沿ってボケとツッコミの応酬を見てもらう王道的な形式となっています。後半に行くに従いツッコミの怒りのボルテージを自然に上げ、独特な強いワードを観客に受け入れやすくしているものと思われます。
4.THIS IS パン
恐竜映画の練習をするネタです。
細かな動きや表情まで気を配ってリアリティを出すボケと、冷静かつ短い言葉でバシッとツッコむツッコミの組み合わせが印象的です。恐竜映画のあるあるをフリにして、それを裏切ってゆく形がメインとなっています。
5.オズワルド
夢の話をしていると思ったら夢と現実の区別がついていないネタです。
夢と現実の区別がついていない設定のしゃべくり漫才ってそう言えば見たことなかったかもしれません。また、非常に自然な流れで設定まで持っていっています。観客の代弁としてのツッコミという意味では非常によくできていまして、人が何となく思っていることを観客が思うよりちょっと早いタイミングで言えているように見受けられます。
6.令和ロマン
映画のドラえもんを再現するネタです。
大きな特徴としてはツッコミが様々な状況説明をする役割を担い、それゆえにツッコむ時間が長くなっている点です。漫才としては不利に働きやすい特徴ではあるんですが、説明の言葉選びやタイミングが非常にうまくできており、漫才の邪魔になるどころか笑いを増幅させています。また、選ぶ言葉が比較的最近になって使われるものが多く、そういう意味ではどんな年代の人が見るか分からない漫才においてはかなり勝負したネタとも言えます。ギリギリみんなに伝わる新しい単語を探った末のネタなのかもしれません。
7.ストレッチーズ
水掛け論になると「水掛け論」と叫んで論争を無理やり終わらせるネタです。
独自のシステムを最初に見せた上で、それを徐々に発展させる構造のネタとなっています。水掛け論かどうかで水掛け論にしたり、敢えて水掛け論と叫ばなかったりと、できる限りの発展を目指しています。
8.カゲヤマ
妹がいる気分を味わってもらうネタです。
とにかく気持ち悪い妹が出てきて、それを怒鳴り散らす形なんですが、ツッコミが怒鳴る中にもちゃんと適切な言葉選びがなされており、ちゃんと笑いに繋げられるよう調整されています。妹のキモさが大体同じまま繰り返すんですが、これは弟を出すという場面転換からの再度妹という笑いに繋げるためのものだと考えられます。
9.ビスケットブラザーズ
英語を教えてもらうネタです。
本場の英語がキチンと聞き取れていることを表現するのに「敢えて日本語でしゃべる」という形を用いた独自システムで攻めたネタとなっています。あとはその独自システムを徐々に応用していくという形です。独自システムなんですが言いたいことは何となくわかる、という辺りをつけているのはプラスに働いていると見られます。
10.ななまがり
デートで彼女に「こんなの初めて」と言わせるよう頑張るネタです。
ボケの気持ち悪いキャラクターがこの組の魅力ではありますけれども、「ツッコミがことあるたびに『こんなの初めて』という」という形がその気持ち悪いキャラクターを非常に活かせるシステムとなっています。要は、どれだけキモいことやっても「こんなの初めて」と言えば大体成立する、というわけです。いいものを見つけたと単純に思います。
11.ダンビラムーチョ
歌詞でしりとりする「歌しりとり」をやっていくネタです。
後半はただただいい声で歌うだけなんですけれども、それが笑いになるよう計算された非常に独特なネタとなっています。歌ネタは数あれど「ただただちゃんと歌う」という行為自体が笑いを生むのは非常に珍しい。それだけでもこのネタには十二分に価値があると思われます。
12.ハイツ友の会
ひらかた大菊人形を見に行こうと誘うネタです。
大人しくゆったりとした会話の中で、うまく言葉を駆使して笑わせる形の漫才となっています。大阪のイベントがテーマになっているとは言え、知らない人にも理解してもらえるようなネタにはなっています。私は知らなかったのでさっき調べましたが、これを知っていたらもっと笑えた可能性がある、そんなネタだと思います。
13.ケビンス
故郷の村をロケするネタです。
ボケが非常に明るいキャラクターなんですけれども、そのキャラクターを自分でいじったり、暗い表情を出したりと非常にメリハリの効いたボケが光ります。肉体派で動きも楽しめますし、ふたりとも言葉の選び方には大変気を遣っておりまして、笑いを取るための適切なワードを常に盛り込めている印象です。
14.ヤーレンズ
ダメ店長がやってるラーメン屋に行くネタです。
話のテンポが非常によく、小気味いい感じで最後まで見られる漫才だと思います。また、軽めの笑いをポンポン出していくだけではなく、要所要所で大き目の笑いを取るボケとツッコミを設けており、テンポに変化をつけてゆくことで単調さをうまく回避しています。ちゃんとしたネタを高水準でやってのけている印象です。
15.ミキ
自分と同世代の有名人を出し合って相手にマウントを取ろうとするネタです。
ひとつのテーマに沿ってひたすら言い争う、喧嘩形式の漫才であり、これ自体は王道中の王道ですが、王道になるには理由があるわけで、要は面白くなりやすいからですね。そういう意味ではこの組はちゃんと面白くなる条件を満たしていますし、終盤の発想の飛ばし方も全く問題ございません。
16.かもめんたる
猿のために演説をする人とそれに終始戸惑う人のネタです。
おかしな主張をするボケが、相方を邪険に扱いながらひたすら自分の言いたいことを言っていくネタです。基本的にはただただ変な主張するだけなんですけれど、観客に気を遣う発言がいい緩和になって笑いが出ているという手法を効率的に使っています。主張自体は観客を置いてけぼりにしていく危険があるんですが、ネタの形式上、内容自体は割とどうでもいいのかもしれません。
17.マユリカ
結婚式の二次会で異性と出会うネタです。
何よりもアキレス腱を切ったくだりのウケが最高でした。個人的最大瞬間風速記録です。ボケの飄々としたキャラクターが注目されがちですが、意外と構成は王道的で、基本的なことが非常にちゃんとできています。
今回の感想は以上です。決勝はまず番組を楽しむつもりなので、感想を載せるのはしばらく後になると思います。ではまた。
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