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M-1グランプリ予選動画感想 予選3回戦 2022年10月31日17時開催分②

 M-1グランプリ2022の予選3回戦の動画が次々に公開されています。1回戦の感想で割とヒーヒー言ってたはずなんですが、なんか手を出してしまいました。せっかく面白い漫才が見られるわけですし、面白ければやっぱり覚えておきたい。そのためには感想を考えて書いて、何なら載せるのが一番です。そんな奮い立たせ方でやってみようと思います。よく分からない紹介になりましたが、よろしくお願いします。

 動画がたくさんありますので、ある程度の感想がまとまったら載せていく形を取って参ります。百人組手みたいに感想をかいてますので、雑な部分があるかもしれませんし、あまりにあれだったら後でコッソリ書き直すかもしれません。何ならここのメッセージだって使い回してます。言い訳が済んだところで、早速参ります。

1.ストレッチーズ/怪奇!YesどんぐりRPG/

1-1.ストレッチーズ

 高校の同級生が大学のお笑いサークルで結成、現在は太田プロダクション所属のコンビです。
 仲のいい5人で遊園地に行くイベントに相方を誘うネタです。
 最初は偶数ゆえにジェットコースターの配置が微妙になるという話題なんですが、徐々に人間関係が明かされてゆき、妥協策を練っているうちに人間関係の地雷を掘り当ててしまうという形になっています。話の流れが非常に自然であり、明らかになってゆく事実の順番も違和感がありません。ツッコミの反応も至極真っ当なため、終盤で大いに驚く様子が観客の共感を呼び、大きな笑いに繋がっていったものと思われます。

1-2.怪奇!YesどんぐりRPG

 ピン芸人3人が組んだユニットです。ユニットとしては抜群の知名度を誇ります。
 いろんなドラマチックな場面をやってみるネタです。
 もはやステレオタイプとも言うべきドラマチックな場面をしてゆくも、話の肝となる部分をひとりのボケで勝手に変更し、更にもうひとりに至ってはコントに参加するのも遅れている、という体でやっていく独特な形となっています。漫才内で行われる、衣装や道具に頼らないコントであることを逆手に取りつつも、終盤ではそれさえフリにするなど、かなりちゃんとした漫才となっています。

2.ヤーレンズ/すゑひろがりず/真空ジェシカ

2-1.ヤーレンズ

 吉本興業時代の先輩後輩コンビ。現在はケイダッシュステージ所属です。
 ダメ店長がやるラーメン屋のネタです。
 ダメなラーメン屋店長とのやり取りという一般的なテーマをベースにはしておりますけれども、ボケとツッコミの切り口は多才で、ベタなものからシュールなものまで、すぐ分かるものから考え落ちみたいなものまで、天丼から伏線回収まで毎回違った視点で笑いどころを作っています。たくさん詰め込んでもギチギチしている感じがなく、スムーズに話を展開できているため、あれこれ手を入れているにもかかわらず分かりやすいネタとなっています。

2-2.すゑひろがりず

 2019年のM-1で決勝進出経験のあるコンビです。
 シンデレラを伝統芸能的な手法でリメイクするネタです。
 西洋由来のものを日本の伝統芸能にガッツリ変換してそのミスマッチを笑う形式となっています。それ以外の部分はテーマから構成から笑いの取り方までかなりオーソドックス寄りであり、独特な芸風とのバランスを取っているかのようです。

2-3.真空ジェシカ

 昨年のM-1で決勝進出を果たし知名度を上げたコンビです。
 生徒ひとりに対して先生がたくさんいる贈る言葉をするネタです。
 奇妙な設定から話を開始するんですが、一つひとつ異なるボケをしながらシステムが発展していき、意味不明ながらちゃんとストーリーが進んでいっていく形となっています。ツッコミのセリフはもちろん、手の動きも最低限かつ適切なものとなっており、観客の集中力が散るのを防止しています。

3.ちゃんぴおんず/太鵬/ハナイチゴ

3-1.ちゃんぴおんず

 ワタナベエンターテインメント所属のコンビです。
 ひとつ上の先輩であることを強調するネタです。
 いわゆるリズム芸と呼ばれるものの色合いが濃い形となっています。自らの立場をいじったところで最もウケた取れています。

3-2.太鵬

 東京NSC22期(2016年入学)のコンビです。
 ゾンビの世界で生き延びる練習をするネタです。
 テーマから構成まで全体的にオーソドックスなネタをキッチリやったという印象です。ひとつのくだりのラストでツッコミの放つ一言がそれまでの話の流れと妙な距離感があると申しますか、微妙に脈絡がなくなっていると申しますか、それが気になります。

3-3.ハナイチゴ

 太田プロダクション所属のコンビです。
 売れたらやりたいことを語るネタです。
 ボケの一言を受けてツッコんだあと、そのツッコミをなかったことにして相手の話に乗るという形式がみんなやりそうで意外とやらない、いいところを見つけてきたと思います。ツッコミの叫びがメインとなるため、言葉選びには力が入っており、おおむね意図通りいっているものと思われます。

4.べじぽた/コロコロチキチキペッパーズ/カナメストーン

4-1.べじぽた

 トリオ「GAG」に所属するふたりのユニット、と言っていいのか分かりませんが、とにかくそういうコンビです。
 勇者だったら魔王討伐に誰を誘うか考えるネタです。
 ボケが討伐メンバーを紹介したあと、それを受けてツッコミが次々とボケのメンバー選抜の意図を指摘し、最終的には何らかの罪をでっちあげて確保する形を数回繰り返す形となっています。ツッコミが妙にたどたどしく乱暴なことをするのが印象に残ります。

4-2.コロコロチキチキペッパーズ

 2015年のキングオブコントで優勝を果たしているコンビです。
 密着番組でいい人っぽくしようと頑張るも、徐々に地が出てくるネタです。
 すっかり世間に浸透したボケのキャラクターをふんだんに活用した形となっています。テーマもボケの状況を使ったものとなっており、知名度が高いとこういうネタ作りができるという一例を示しています。

4-3.カナメストーン

 マセキ芸能社所属のコンビです。
 ツイッターのフォロワーを減らすよう相方に頼むネタです。
 舞台に入っている時からボケにヤバさを感じさせるような動きをし、奇妙な頼みごとにもそれなりの根拠をちゃんと提示し、みんながボケに対して何となく感じていることを終盤でツッコミが指摘するなど、ウケを取るためにやるべきことをきちんとやっている、そんな漫才となっています。

5.サンタモニカ/ネイチャーバーガー/阿佐ヶ谷姉妹

5-1.サンタモニカ

 東京NSC23期(2017年入学)のコンビです。
 彼女と大阪旅行に行くネタです。
 大きな動きと演技で笑わせるタイプではあるんですが、言葉遣いも当たり前のように気を遣っておりまして、特にツッコミの例えは的確で分かりやすく、また端的に表現できています。ストーリーよりは二人のやりとりを楽しむタイプのネタだと思われます。

5-2.ネイチャーバーガー

 東京NSC21期(2015年入学)のコンビです。
 どちらの方が先に結婚するかでもめるネタです。
 ボケがある程度の時間を取って説明をしたのち、ツッコミがまとめて反論をするという形が基本となっており、決められたポーズでツッコむところで笑いを取るシステムとなっています。ツッコミ以外の部分はツッコミで笑いを取るための布石として活用するともうハッキリ決めてしまっている点には潔さを感じます。

5-3.阿佐ヶ谷姉妹

 2018年のTHE Wで優勝を果たしているコンビです。
 汚れた手を洗えないのがつらいという話をするネタです。
 自分たちのキャラクターを把握しきっているコンビです。それは自分たちのキャラクターに沿った言動をするということだけでなく、自分たちのキャラクターと合わないことを敢えてすることによる笑いも難なく誘えるということでもあり、またその両方を適切な場面で適切に使って笑いを取るということでもあります。

6.ダイヤモンド/さすらいラビー/オダウエダ

6-1.ダイヤモンド

 東京と大阪、それぞれのNSC出身ではあるものの年代的には同期のコンビです。ここ最近のM-1では常に準々決勝以上まで勝ち上がっています。
 「無賃乗車」に対して「有賃乗車」と言うなど、後からできた言葉をベースにして本来あったはずの言葉を変化させるネタです。
 理屈先行型のネタと申しますか、特殊な主張をしてゆくネタではあるのですが、見せ方には相当気を遣っています。オチとなるオリジナルワードを先に見せて、本来はフリであるもともと存在している言葉を後から出すという方式もそうですし、途中でボケの主張が意外とちゃんとしている点を見せて場面を変化させるなど、ただ独自システムを使うだけに留まらない漫才となっています。

6-2.さすらいラビー

 大学のお笑いサークルで出会いプロへ。現在は太田プロダクションに所属しているコンビです。
 学生時代の初詣をやってみるもたちまちキモくなるネタです。
 漫才は性質上、気持ち悪いキャラクターが当たり前のように出てくるものですけれども、この組のキモいキャラクターは極端に変なことをしようとしているわけじゃないんですが絶妙にヤバさがにじみ出ており、また言動に妙な独自性があります。そのためか、リアリティが感じられ、それが笑いに繋がっているものと考えられます。

6-3.オダウエダ

 昨年のTHE Wを制覇したコンビです。
 家でキンキンに冷えているクリアアサヒをやるネタです。
 人がビールの役をやるという特殊な事情はありますけれども、基本的には同じ場面を繰り返しつつ話を徐々に進展させるというオーソドックスな形式となっています。ビールの見せ方はこの組独自のものとなっています。

7.キュウ/鬼越トマホーク/オズワルド

7-1.キュウ

 SMA、オフィス北野、タイタンと渡り歩き、一度解散もしているコンビです。
 同じ文字数・同じリズムの言葉だけを欲し、それ以外の言葉を聞くと怒るネタです。
 非常に独特なルール、独特なテーマです。ひとつのルールに則って、あとは様々な言葉がそのルールに合うか合わないかを判断してゆくわけですが、ちょこちょこ例外規定が判明することで更なる笑いを目指す形となっています。形式はシンプルですが、それゆえに表情一つひとつの重要性が高く、それを分かった上でうまく活用しているように見受けられます。

7-2.鬼越トマホーク

 東京NSC15期(2009年入学)のコンビです。
 流れ星に願い事をするもいつの間にか喧嘩になるネタです。
 漫才に喧嘩はつきものですが、喧嘩をするのが上手な組となっています。喧嘩で隠れがちではありますが、他の部分は割とオーソドックスな形となっています。

7-3.オズワルド

 現在M-1グランプリ3年連続決勝進出中のコンビです。
 相方に財布泥棒の嫌疑をかけるネタです。
 ボケは言ってることを重複させたり、疑う部分がズレていたりと、多彩なポンコツ具合を披露しています。また、敢えておっとり淡々とボケることで笑いの出所を観客に予測されづらくし、笑いやすい状況を作っています。ツッコミは日常生活で用いられる平易な表現でありながら的確な言葉遣いとタイミングを維持しており、相槌ひとつに至るまで明確な目的を持たせています。

8.ダイタク/かもめんたる/トット

8-1.ダイタク

 東京NSC14期生(2008年入学)で、一卵性双生児のコンビです。
 彼女を相方に紹介するネタです。
 日常的にありがちな行為でも双子ゆえに起きるトラブルなどを楽しんでもらう形となっています。日々使っているだけあって双子の調理が手慣れています。形式としてはオーソドックスなものとなっています。

8-2.かもめんたる

 2013年のキングオブコント王者です。
 「豚に真珠」という諺を擬人化というか芸能人化させて語るネタです。
 諺を芸能人に例えて話す独特な形ではあるんですが、諺に対するイメージを「よく分かんないけど何となく分かる」言葉にして観客に届ける不思議な手段を用いています。その代表格が序盤で出てきた「オレンジの白黒」だと思われます。もちろん、ツッコミの説明も観客の理解に一役買っているのは言うまでもありません。

8-3.トット

 上方漫才大賞新人賞など関西のコンテストでいくつもの賞を取っているコンビです。
 禁煙成功者が喫煙者にマウントを取るネタです。
 「禁煙成功者が喫煙者に上から目線でいろいろ言うも結局は煙草が吸いたい気持ちから来ているものだった」というテーマとなっています。普通にありそうなもめごとを少し笑える方向にずらしたような漫才に見受けられます。

 今回の感想は以上です。ではまた。

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