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M-1グランプリ予選動画感想 予選3回戦 2022年10月31日13時開催分②

 M-1グランプリ2022の予選3回戦の動画が次々に公開されています。1回戦の感想で割とヒーヒー言ってたはずなんですが、なんか手を出してしまいました。せっかく面白い漫才が見られるわけですし、面白ければやっぱり覚えておきたい。そのためには感想を考えて書いて、何なら載せるのが一番です。そんな奮い立たせ方でやってみようと思います。よく分からない紹介になりましたが、よろしくお願いします。

 動画がたくさんありますので、ある程度の感想がまとまったら載せていく形を取って参ります。百人組手みたいに感想をかいてますので、雑な部分があるかもしれませんし、あまりにあれだったら後でコッソリ書き直すかもしれません。何ならここのメッセージだって使い回してます。言い訳が済んだところで、早速参ります。

1.カゲヤマ/蛙亭/オフローズ

1-1.カゲヤマ

 東京NSC14期(2008年入学)のコンビです。
 一人っ子に妹のいる気分を体験してもらうネタです。
 妹を気持ち悪く演じるわけなんですが、それだけならば他の組に埋もれてしまいます。そこでこの組の場合は独特な言葉で熱量高くツッコむという点やコントに入る前にも喧嘩をするという点などで凌いでいる形となっています。

1-2.蛙亭

 キングオブコントでは過去に決勝進出経験があり、M-1でも3度の準々決勝進出を果たしています。
 結婚した人にセクシーな女性が迫ってきてもうまくあしらえるかどうか試すネタです。
 セクシーな女性になって迫る役が合間合間に素の自分が出てきて相手の気持ち悪いところを罵倒していくという形式が特徴的です。ちゃんときもいので罵倒もちゃんと笑いになっています。

1-3.オフローズ

 大阪NSC38期(2015年入学)のトリオです。
 宇宙人の女の子との合コンを練習するネタです。
 特殊な人物をオーソドックスな舞台に登場させ、そのミスマッチを狙う形となっています。コントに重きが置かれ、ツッコミはどちらかと言えば戸惑いが多いタイプです。

2.トンツカタン/世間知らズ/マンマーレ

2-1.トンツカタン

 キングオブコントでは準々決勝の常連になっているトリオです。
 コントの中でコントをやっていくネタです。
 いわゆる「劇中劇」に「劇中劇」を入れ子にしていく形となっています。一番最後に出てくる劇中劇自体がおかしなコントであり、他の劇中劇と一応の関連性がある点などが注目箇所です。

2-2.世間知らズ

 東京NSC19期(2013年入学)のコンビです。
 カップルのイチャイチャするネタです。
 構成は割と複雑で、彼氏いたことないと言っているボケが明らかに彼氏いたことある言動で、逆に練習に付き合ってやってるツッコミが彼女いたことない言動になっている、というシステムで行くかと思いきや、途中で相方の可愛さにドギマギすることで場面を転換し、最初は感覚でできたと言っていたボケが結局何らかのハウトゥー本を読んでいたことを明らかにし、最後は本当の自分で勝負して大失敗するという流れになっています。文章で書くと訳が分からないですけれども、それを自然な流れで、観客が混乱しないようにうまく情報整理できているため、問題なくネタを楽しめるようになっています。

2-3.マンマーレ

 サンミュージックプロダクション所属のコンビです。
 服が透けて見える眼鏡をかけてみるネタです。
 眼鏡で相方を見て驚いている様子でやたらと引っ張るのが印象的です。というか、そこが最も見るべきポイントなのかもしれません。

3.バビロン/杉並スラッシャーズ/コットン

3-1.バビロン

 東京NSC16期(2010年入学)のトリオです。
 愛情だけで料理を作るネタです。
 ボケふたりが愛情を込めた料理をやって成功し、今度はツッコミがやって失敗するという王道パターンを高めの熱量で突き進みます。大ボケの飄々とした感じが肝となっています。

3-2.杉並スラッシャーズ

 太田プロダクション所属のコンビです。
 お葬式でお坊さんに殴られた理由を探るネタです。
 お葬式にそぐわないことばかりひたすらやってから、殴られた意外な理由を出してきて、最後でもう1回どんでん返しをする形となっています。何かやらかすたびに同じワードでツッコミを始め、それが最後には少々違った意味に聞こえるようになっているなど、ストーリーにひねりが効いています。

3-3.コットン

 今年のキングオブコントで準優勝になったコンビです。
 女の子が主人公のヤンキー漫画をやってみるネタです。
 映像が一部カットされています。ボケが一人で何役もして、それをツッコミがコントの外側からツッコんでいく形となっています。ボケがスムーズに何役もするすごさはもちろんありますけれども、ツッコミが本当に無駄のない表現で、言い方も適切でございまして、非常に洗練されています。

4.ダンビラムーチョ/10億円/

4-1.ダンビラムーチョ

 M-1では過去に準決勝進出経験のあるコンビです。
 結婚式の友人代表スピーチでヨーデルを歌うネタです。
 ほとんどヨーデルを歌って駆け抜けたのは非常に特徴的です。歌をうたって相方が歌詞などにツッコむというスタイルは王道のものとなっています。

4-2.10億円

 東京NSC25期(2019年入学)のコンビです。
 銀行での長い待ち時間でいろんな人を見て暇を潰すネタです。
 ボケが様々な人を次々に演じていき、そのたびにツッコみが気になったところを指摘していく形となっています。ツッコミがワードセンスで笑いを取っていくタイプのようで、日常会話として違和感のない単語でありながら独特な言い回しを編み出しており、笑いの大きさに寄与しています。

5.わらふぢなるお/大自然/ダニエルズ

5-1.わらふぢなるお

 キングオブコントでは3度の決勝進出、2018年には準優勝を果たしています。
 刑事が聞き込みをするも、妙な質問ばかりして会話が進まないネタです。
 普通なら分かっていて当然のところをひたすら尋ねて会話にならないようにするという、この組お得意のスタイルとなっています。場面については刑事ドラマの王道となっています。

5-2.大自然

 M-1グランプリでは2度の準決勝進出を果たしています。
 具同士が「どの具がお弁当に入るか」というお弁当会議をするネタです。
 特殊なテーマなんですけれども、具同士で決めるって言っているのに食器や調理器具がしゃしゃり出てくるという更なるひねりが効いています。ボケの落ち着きのないようすとツッコミのどっしりとした安定感が好対照となっており、それぞれの言い方に適した言葉遣いがキチンとできています。

5-3.ダニエルズ

 オスカープロモーションを経てタイタンに所属しているコンビです。
 電車でマナーの悪い人を注意するネタです。
 漫才中にコントへ入ると、場面転換やツッコミのために途中でコントを辞める形が存在しますけれども、それを逆手にとって、ボケだけが全然コントを辞めようとしないという独特なスタイルです。更にうまいのは、日常的にありがちな言葉をボケが自然に曲解していくところであり、新しいタイプのすれ違いコントにも見えます。

6.アインシュタイン/アーシングステップ/オリオンリーグ

6-1.アインシュタイン

 M-1では準々決勝の常連で、オールザッツ漫才やNHK上方漫才コンテストの優勝経験もあります。
 宇宙からお迎えが来ても地球に留まろうとするネタです。
 宇宙人への順応が妙に早かったり、やたらとリアリティのある宇宙語を話したり、宇宙人は宇宙人で地球語に寄せてきたりと、ストーリーを進めながら多様な切り口でボケていき、いいタイミングで的確なツッコミが入ってゆきます。テーマの独自さだけに留まらないネタとなっています。

6-2.アーシングステップ

 ケイダッシュステージ所属のコンビです。
 「無人島にひとつだけ持っていくとしたら何がいい」と質問するも話がこじれていくネタです。
 ボケが元警察官というキャラクターを活かすためか、法律や条例などを根拠にツッコミをつめていく理論と理屈を重視したスタイルとなっています。簡単なゲームにガチな感じで挑むおかしさを笑ってもらう形とも言えます。合間に警察組織をいじりつつも、基本は理論武装が笑いどころとなっています。

6-3.オリオンリーグ

 同じ事務所の先輩後輩コンビです。
 相手のスタンスをやめるようお願いするネタです。
 相手の言動を受けて「そういうスタンスやめて」とお願いするようにツッコむことを繰り返す形となっています。その独自システムに沖縄らしさを混ぜているといった感じです。

7.新作のハーモニカ/TEAM BANANA/レインボー

7-1.新作のハーモニカ

 ワタナベコメディスクール22期(2015年4月入学)のコンビです。
 相方のラップをアラームにして目覚めるネタです。
 ラップとヒューマンビートボックスというそれぞれの特技を生かした歌ネタといったところです。歌の分だけ時間がどうしても取られてしまうんですけれども、オチの部分をキッチリ決ることによって時間の不利さを相殺しています。曲のパターンもそれぞれ全く異なっており、繰り返し感を薄くしています。

7-2.TEAM BANANA

 THE Wでは2年連続で決勝進出しているコンビです。
 SNSの「私事ですが」で始まる結婚報告がわざとらしくならないよう、常日頃から「私事ですが」を使っていくネタです。
 どの芸能人の発言を使っていくかでネタの出来が大きく異なってくるでしょうが、かなり的確なふたりを選んできたと思われます。そこへ辿り着く話の流れも自然でちゃんとしています。

7-3.レインボー

 東京NSC18期(2012年入学)のコンビです。
 ナイトルーティンを紹介するネタです。
 とにかく美容を気にする男性をそんなの全然気にしない男性が怒りながらツッコんでいくという形になっており、対比で笑うネタとなっています。ボケのいけ好かなさをツッコミが怒鳴って指摘するだけでなく、合間に全く別の要素を入れて、一辺倒にならないよう気を遣っています。

8.ニッポンの社長/ランパンプス/たぬきごはん

8-1.ニッポンの社長

 キングオブコントでは3年連続決勝進出、M-1グランプリでは準々決勝の常連です。
 デートの練習でおかしいところを指摘してもらうネタです。
 「何かおかしいところあったら言って」というよくあるスタイルの裏を突いた形となっています。それだけで十分にすごいネタなんですが、それからも自動車泥棒が観客にバレた状態の中でいかに自動車泥棒で笑いを取るか、あれこれ考え抜いたあとが垣間見えるネタとなっています。

8-2.ランパンプス

 東京NSC16期(2010年入学)のコンビです。
 雑学をひけらかすネタです。
 単に雑学がすごいだけではなく、後半は雑学に混じった嘘を明かすなど、展開で引っ張る形となっています。もともと雑学が好きなのではないかというほど、絶妙なところをついてきます。

8-3.たぬきごはん

 松竹芸能所属のコンビです。
 麻雀パイを食べてしまった人のネタです。
 麻雀用語を用いたダジャレのオンパレードなんですけれども、それゆえに麻雀をよく知らない人でもどこがおかしいか理解でき、笑えるようになっています。ボケの絶妙な勘違いが話をうまく滅茶苦茶にしており、更なる笑いを生み出す仕掛けとなっています。

 今回の感想は以上です。ではまた。

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