M-1グランプリ2022予選動画感想 準々決勝⑤
M-1グランプリは準決勝進出者が決まりまして、現在は例年通り、ワイルドカードを決めるために準々決勝で敗れた方々のネタが公開されています。
3回戦のネタも感想を書いてきたんだから、準々決勝もやるしかない。そういう、誰にも求められていない義務感でまた感想を書いて参ります。
何かのご参考になったり、暇潰しになったりしてくだされば、もう十二分に嬉しい、そんな状態です。今回はコンビ名の50音順に少しずつ感想を書いております。よろしくお願いします。
1.トム・ブラウン
星野源さん3人を合体させて星野エネルゲンを完成させるネタです。
慣れてる人は何とも思わなくなってしまいそうになりますが、導入からして滅茶苦茶で特殊性があります。合体を通じて特定の言葉に様々な単語を追加していく形なわけですが、繰り返しになる上に、1回口にするだけで結構な時間を持ってかれるくらい長い言葉になってしまうので、合体中にもツッコミがいろいろしゃべったり、新たに略語を作ったりして対策をしています。キッチリ作ったネタというよりは、空気を散らかすアバウトな性質が強いネタなため、似たくだりの繰り返しでも繰り返し感が薄いという特異な組でもあります。
2.とらふぐ
英語をあまり話せない人が外国人に道を聞かれるネタです。
「文化関係なく単純に個人としてうざい」という、みんな何となく察していたけれども明確に何らかの形で主張している人があんまりいないところを突いた形であり、それがこのネタのメインウエポンとも言えます。ネタの方向性を冒頭で提示し、あとはそれに沿って話を展開させています。
3.どんちっち
柔道のオリンピック選手を目指そうとするネタです。
「相手の発言で大したことなさそうだと見るやすぐに掴みかかり、逆に投げられる」の繰り返しなんですけれども、柔道勝負がなかなか一定の動きにならないため、繰り返し感が薄れています。会話しながらちょっとずつ戦う準備をするところも何気に見どころとなっています。
4.ナイチンゲールダンス
店員が大体おかしいハンバーグ屋に行くネタです。
バカで明るいキャラクターのボケがダジャレや言葉の意味を間違ってとらえる形でツッコミを苛立たせるスタイルとなっています。声の高さがキャラクターの形成にかなり貢献しており、声を活用したボケをするなど有効活用しています。
5.納言
枕営業に誘われてもちゃんと断る練習をするネタです。
基本的には従来通り、ボケが何らかの偏見を言ってからコントに入るスタイルで、その合間に自虐ネタを入れるなどして変化をつける形となっています。偏見をコントに関連付けるなど新しい手法も散見されます。
6.生ファラオ
ペットの犬を「たかいたかい」するネタです。
犬を驚異的な高度まで放り上げ、それを必死になってキャッチする様子を楽しんでもらう形となっていて、コント色の強い漫才となっています。舞台が広ければ広いほど盛り上がりそうな特異さがあります。
7.ニッポンの社長
よく分からないまま乗馬っぽいことをするネタです。
何を言っているのか聞き取れないため、よく分からないまま話が進むという独特な形式となっています。ただ、おんぶして歩き回るところを繰り返しつつ、ちょっとずつ変化をつけていく構成は比較的よく見られます。冒頭で相方の相槌を速攻否定する部分はいい意味で虚をついています。
8.にぼしいわし
理想のフードコートをするネタです。
フードコート内の様々な施設を巡りながら、おかしなところを笑ってもらう形式となっており、コントメインの漫才としてはオーソドックスな形となっています。伏線を張っては回収する行為も、準々決勝まで勝ち抜くレベルでは当たり前のようにするものであり、そういう意味でも王道寄りとなっています。
9.バッテリィズ
北海道の話をするネタです。
最初にひとつ嘘をついたがために不信感が芽生え、ちゃんとした情報を信じられなくなる導入は、怒鳴る口実としても絶好のものであり、後半の畳みかけに繋がるいいスタートでしょう。基本的にはツッコミが北海道の観光スポットを紹介するたびに、ボケが見当違いの怒りを振りまくという非常に分かりやすい構成になっているのですが、ボケの怒りが「確かに間違ってるんだけど分からなくもない」と言う絶妙なアホさを本当に外していません。メインの武器として持ってくる気持ちがよく分かります。
10.パンプキンポテトフライ
借金と引き換えに相方の家を食べログに掲載するネタです。
特殊な状況をスタート地点にして具体的な話をしてゆき、それに対して独特な単語を用いたツッコミをするスタイルです。途中で別の話題に移ることで変化をつけ、下ネタでもウケを取ったところで話題を戻して終了という流れです。
11.ひつじねいり
ピザのサイドメニューで揉めるネタです。
情熱的に怒鳴ってゆく関西弁ツッコミと冷静沈着に指摘してゆく関東系ボケという対立構造が非常にハッキリしているコンビで、細部の言動に至るまで差をつけるよう配慮されています。それゆえ、初めて見る人でもどちらがどの役割なのか数十秒で理解でき、以降は互いの発言を当然のものとして受け入れ、楽しむことができます。
12.ぶるファー吉岡
ふとももとお尻の境界線を探るネタです。
一貫してセクシーな話題で漫才をしておりまして、今回もまたその類です。絶妙にヤバい話題をさけつつ、でも何を示唆しているのか察せられるような発言を繰り返し、ツッコミは終始、冷めた態度でいる。特色かと言えば間違いなく特色です。
13.ブレード・ランナー
泣ける映画に厳しいネタです。
車椅子に乗っているボケが毒舌で、他人にも自分にも毒を吐く漫才となっています。芸風的に洒落になるかならないかのボーダーをシビアに見極める必要がありますが、ちょっとはみ出しちゃってもいいやくらいの気概を感じさせまして、個人的には好感が持てます。
14.紅しょうが
街頭演説でよく分からない主張をするネタです。
どんな公約をするか、どんな主張をするかが鍵となるテーマだと思われ、この組の場合は主に女性に向けたよく分からないメッセージをメインに持ってきています。話の流れとしてはオーソドックス寄りだと思われます。
15.ヘンダーソン
クラブでナンパしてみるネタです。
コントに入る流れになっているのに入らずツッコミなどをするという独特な形式を用いています。その形式もボケ側が多用したり、伏線回収に使ったり、コントもちゃんとやったりと様々な変形版を見せて単調さを防止しています。
今回の感想は以上です。ではまた。
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