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M-1グランプリ2022予選動画感想 準々決勝①

 M-1グランプリは準決勝進出者が決まりまして、現在は例年通り、ワイルドカードを決めるために準々決勝で敗れた方々のネタが公開されています。

 3回戦のネタも感想を書いてきたんだから、準々決勝もやるしかない。そういう、誰にも求められていない義務感でまた感想を書いて参ります。

 何かのご参考になったり、暇潰しになったりしてくだされば、もう十二分に嬉しい、そんな状態です。今回はコンビ名の50音順に少しずつ感想を書いております。よろしくお願いします。

1.アイロンヘッド

 デートの練習をしてダメなところを指摘するネタです。
 導入部とネタのテーマは非常にオーソドックスです。特徴的なのはベテラン刑事が部下へ指導するように叱ったり励ましたりする点です。叱ったり励ましたり、ツッコミの切り口を変えたりしています。

2.アインシュタイン

 乾燥肌の妖精の話をするネタです。
 特殊なキャラクターに扮するコントではありますが、妙なキャラクターが妙なことをし、それをコントの外側からツッコミがどんどんツッコんでいくという形式は非常に王道寄りのネタと言えます。非常に安定した作りのネタです。

3.阿佐ヶ谷姉妹

 お味噌汁や焼きおにぎりなどを作ろうとしておかしなことになるネタです。
 「調理をしても肝心なものを入れ忘れる」という話をベースに、得意の「おばさんキャラ」で駆け抜けた形となっています。ウケ方を比べてもキャラクターに準じたボケやツッコミが本当に強いと感じます。

4.EXIT

 スターバックス日本進出会議を想像でやってみるネタです。
 キャラクターに特徴があり、言動もそれに則った形となっています。内容としては日本人をいじるのがメインです。ツッコミは注意や指摘というよりはボケと一緒にはしゃぐ色合いが強めになっており、これもまたキャラクターに則ったものと考えられます。

5.井下好井

 テレビに文句を言う人を注意するネタです。
 「課金している人は文句を言ってよく、無課金者は文句を言うな」という主張をまず提示し、あとは相方と喧嘩口調で会話しながら何が課金で何が無課金かを分類していく形式となっています。課金と無課金のボーダー設定が肝となるネタです。

6.入間国際宣言

 温泉に浸かった時の声を出すネタです。
 温泉に来た変な人が滅茶苦茶するという内容自体はオーソドックスなほうではありますけれども、ボケのキャラクターで独自色を出していっています。このような形式のネタですと、「変な人がいかに滅茶苦茶するか」がネタの良し悪しを決めるんですが、この組のボケは独特な雰囲気であり、しかもそれが自然な感じとなっており、その辺りがウケに繋がっていると思われます。

7.インディアンス

 反抗期の子供に父親として対処するネタです。
 明るいボケが細かくボケまくり、一方のツッコミはどっしり構えて適切な場所で適切な言葉をぶつける形となっています。ただし、時々ひとつのボケに時間を取ったり明るい雰囲気を急に抑えたりと変化をつけていき、観客の飽きを防ごうと試みているようです。

8.インテイク

 恋愛ドラマを見て素敵なプロポーズをしようとするものの、その平凡さに相方が辟易するネタです。
 安直なプロポーズをする人々にひたすら文句を言う形であり、ステレオタイプなカップルをいじっていくという点では「あるあるネタ」の変形版みたいなネタとなっています。ボケが早口でまくしたて、文句がひと段落するとツッコミが入る感じです。

9.Aマッソ

 母親との話をするも、話の順番がおかしいゆえに混乱してゆくネタです。
 「動詞を先に話し、あとから目的語を持ってくるため相方が早とちりして怒る」という独自のシステムを前面に出す形となっています。システムの活用法自体は中盤まで概ね一定で、終盤になって変化を加えており、独自システムの活用法としては王道寄りとなっています。

10.エバース

 初恋の子と15年ぶりに会う約束をしたはずなのに、多くの困難が判明してゆくネタです。
 理詰めのネタと言っていいでしょう。ボケが奇妙な不安を口にするたびに、ツッコミがその不安を解消させる案を提示し、その案をベースにまた奇妙な不安を感じ、を繰り返す、アホな詰将棋を見ている気分です。ツッコミは理屈だけでなくたまに情熱による解決法を出すことで、話に変化をつけています。

11.演芸おんせん

 相方から聞いた雑学を相方にするネタです。
 「相方から聞いた話を本人に言って聞かせてツッコまれる」というシステムを何度も何度も繰り返しながら徐々に変化をつけていく形となっています。細部を徐々に変えながら繰り返し、繰り返しそのものがおもしろくなるように調整してあるほか、繰り返しを敢えて全く別の形で用いることで大きな笑いが起きやすくもしています。

12.オッパショ石

 海に誘おうとするも嫌がるネタです。
 ネタが進行するにしたがって当初の話題から外れていくことは往々にしてあるんですけれども、この組の場合は一度外れたらもうあっという間に別の話題へシフトし、でも何だかんだ海の話に戻って来ることを繰り返します。話の振り幅が大きい割にバンバン脱線するのが特徴的です。観客が話を見失う危険があるんですが、仮に見失っても脱線した話自体が笑えるのでさほど問題にはなっていないと思われます。

13.オドるキネマ

 合コンでの下ネタをきっかけに裁判まで行くネタです。
 ちゃんと決まったストーリーを中心に漫才が展開してゆく形となっています。各場面でそれぞれ強引に話が進められ、最後でその強引な展開をフリとするオチを決めるなど、ストーリー中心のネタらしい出来となっています。

14.鬼としみちゃむ

 会話に干支を次々入れ込むネタです。
 「会話に干支を入れ込む」という特殊システムを活用していく形となっています。入れ込んだ干支を観客に再確認させるための時間がどうしても必要になってしまい、その分、笑いどころが減ってしまうわけですけれども、その分、一発の笑いを大きくする戦略を取っています。

15.オフローズ

 体だけの関係の異性をサンタのようなものとして語るネタです。
 体だけの関係の異性とサンタを一緒くたにされて、それぞれ違った角度からショックを受けるふたりがいるという、ひねりが聞いてるんだけど分かりやすい形となっています。トリオならではの役割分担ができているように見受けられます。

 今回の感想は以上です。ではまた。

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