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不思議な自転車乗りたち

 つい先日も家に向かって歩いていたんですが、1台の自転車が私を追い抜いていきました。

 それ自体はよくありすぎるくらいよくある出来事です。ですから、その時も特に注目してなかったんですが、目の前の下り坂に差し掛かった途端、自転車を降りたんです。あれ、家が近いのか。それともパンクでもしたのか。最初はそう思ったのですが、そのどちらでもないようで、淡々と自転車を引き、急な坂を歩いて下りている。

 私の家も坂を下りた先にあるので、必然的に自転車を降りた人の後をついていく形になります。やっぱり自転車の調子が悪くなった説が優勢だな。そんなことをぼんやり思いながら歩いていると、いよいよ下り坂が終わりに差し掛かります。すると、前の人は自転車に乗り込んで、そのまま走ってゆきました。

 自転車に乗った人なんて、生まれてから現在に至るまで、たぶん数万人くらい見てると思うんです。しかし、わざわざ自転車を降りて坂を下る人を初めて見ました。上り坂だったら散々見たんですけどね。ひょっとすると、ものすごく珍しい光景に出くわしたのかもしれません。

 その次の日の話です。いい天気だったのでジョギングをしました。ジョギングでも自転車に乗った人とすれ違ったり、追い抜かれたりしています。

 何の変哲もない真っすぐの道でした。歩行者と自転車だけが通行可能な、川沿いの道です。自転車に乗った、何の変哲もない知らないおじいさんが向こうから来ていました。まあ、非常によくある光景です。

 そろそろ私とすれ違おうとした瞬間、急におじいさんはこちらに手を振ってきました。私は自分の後ろにいる誰かに手を振ったのだと思い、特に反応もせずすれ違ったのですが、ふと気になって後ろを向いたら、自転車で走り去るおじいさんのほかは誰もいませんでした。

 一体何のために私へ手を振ったのか。それとも私の背後霊に手を振ったのか。その昔、ジョギング中におばあさんがすれ違いざまに紙を渡してきたのでつい受け取ってしまい、家に帰ってから紙を確認したら、ちゃんと新興宗教のチラシだったことがありますけれども、それ以来の意味不明ジョギングエピソードとなりました。

 ここ最近の私、自転車方面の運が確変を迎えているのかもしれません。

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