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Googleのお陰で憧れのキャラクターに近づけていたらしい

 たくさんのコンピューターに囲まれた部屋にひとりいて、仲間との連絡は基本的に通信だけ。それでも、助けを求められれば山盛りのコンピューターを駆使して状況を即座に分析し、的確な指示を送る。こんなタイプのキャラクターをフィクションでたまに見かけます。そういうキャラクターで私がパッと思い浮かぶのは、クリミナル・マインドのガルシアとパーソン・オブ・インタレストのフィンチ、更にさかのぼりますとエネミー・オブ・アメリカのブリルなんかもそうですね。

 スラスラ出てくるってことは、たぶんそういうキャラクターに昔から憧れがあったんでしょう。キーボードでカタカタ入力して様々な情報をあっという間に収集し、ササッと分析して、うまく活用する。「これは格好いい」と思ったに違いありません。しかし、憧れるだけ憧れといて実際の私はコンピューターの勉強なんてほとんどせず、プログラミング言語を何ひとつできない大人になりました。全てのコンピューターを拒否するほど時代に取り残されていればまだネタになるんですが、スマホで変なゲームをしたりパソコンで変な文章を書いたりと、中途半端にITへの適応が進んでいるんです。大した自慢も自虐もできない、つまらないポジションに収まっています。

 そんなポジションでも、どこかの誰かがすごいシステムやらソフトやらを作っているお陰で、そこそこのパソコンやスマホで結構なことができるようになってきました。まさに「便利な世の中になったもんだ」というやつです。

 例えば、私が家のパソコンでいつものように生産性のない文章を書いておりますと、友人から電話がかかってきました。「道が分からないから案内してほしい」というのです。

 友人だってスマホを持っていますし、アプリで地図を見れることくらい知っていますが、地図に夢中になるあまりラーメン屋の看板に肘鉄をかましたり電信柱に頭突きをかましたりと生傷が絶えなくなってしまったため、「こんなもん使ってられんわ」となったんだそうです。そこで、私に電話してきた。

 友人の現在地を聞きますと、私が降りたことのない駅の前でした。しかし、心配は無用です。世の中には既にGoogleマップという便利なものがございましたから、即座に地図上での現在位置を確認、あとは目的地を聞き、様々な機能を駆使して友人に道順を口頭で伝えればいいだけです。

 もちろん、思いました。今の私はガルシアであり、フィンチであり、ブリルなんじゃないかと。操るマシンも遂行しているミッションも、お三方に比べて格段にショボいですけれども、コンピューターを使って得た情報を分析し、遠くにいる仲間へ指示をするという点は共通しています。科学の進歩はひとりの人間を憧れのキャラクターへ自動的に近づけてしまいました。

 しかも、単なる道案内でもちょっとしたトラブルと申しますか、ドラマが起きたりするんです。地図の情報がちょっと古かったり、指示したルートが工事中だったりと、道案内は意外とすんなりいかない。それに、伝言ゲームで手こずった経験がある方はお分かりの通り、そもそも正確に物事を伝えるのが難しかったりするんです。当然、揉める時もある。「その角を曲がるとコンビニがあるでしょ」「いや、ねえし」。あるはずのコンビニがそこにない。なかなかのスリルとサスペンスです。

 皆様もよろしければご友人とやってみてください。場合によっては本当にドラマレベルで揉めれたりします。

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