読み途中『晩酌の誕生』・本が好きな話/その4
読了ではなく読書中。魅力的な本だったので、概要をご紹介。
タイトルは『晩酌の誕生』飯野亮一著 ちくま学芸文庫 イ-54-4 2023/11
日本においての晩酌という文化の変遷について論じた一冊。まだ半分くらいの進捗だが、この時点でもだいぶ面白い。
論調としては、お酒を「飲む側」から見た場合の「飲み方」の変遷を、文献を基に紹介していく。文献は中世であれば風土記や歴史書が主で、近世江戸時代では旅行記や幕府発行の統計書を始め、狂歌や俳句、仮名草子までを含む。説明の折々に狂歌や絵本のワンシーンが見えてくるのが面白い。写真が無かった当時の映像が見えてくるからだ。
+平安時代から鎌倉時代までは、酒は貴族や武家のみなど限られた人々が日常的に嗜めるものであり、庶民は酒を飲むことが一般的ではなかった。
次の江戸時代になると庶民も酒を楽しめるようになってきて、今に至る晩酌のイメージが完成するのは200年前程だという。
この歴史は、燃料の歴史でもあるといい、前半部分では照明用燃料の歴史が解説されていたのが興味深かった。菜種油から魚油、行灯と蝋燭が庶民に行き渡るまでの歴史。
さらに、江戸市中の夜は市民はどんな生活をしていたか。門限や店舗営業のルールなど。居酒屋の始まりあたりにも触れられている。
読了したのはここまで。この先はいかに江戸庶民が個人で自宅で酒を楽しむ、現代でいうところの「晩酌」が広まっていったかの章なので、先が楽しみだ。
この著者は他に『居酒屋の誕生』も書いているので、そちらと合わせて読みたいと思わせる一冊だった。大変興味のあるジャンルなので、読み進めていきたいと思う。
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