「新型コロナウイルスの存在する世界で劇団はどう生きるのか?」第3回

さて前回から少し時間が経ってしまいましたが、皆様お元気ですか?
僕は元気です。
どうもお笑いサタケ道場の佐竹仁です。

5月10日に第1回の「新型コロナウイルスの存在する世界で劇団はどう生きるのか?」を投稿しました。
色々な方から反響やら応援やらいただきましてありがとうございます。
第1回、第2回はこちらのnoteをご覧ください。

お笑いサタケ道場は新型コロナウイルスとの生き方を模索する中で、従来の劇団の運営方法を変えていこうという結論に至りました。

今回はお芝居をするための団体である「劇団」が自分たちにとって最も価値のある「芝居」を「無料」もしくは「格安」で提供する事が出来るのか?
またどうしてそうするのか?
ということについて書いていこうと思います。

今現在、新型コロナウイルスの猛威により世界経済はとんでもない大打撃を受けています。
それは僕たちの様な小さな劇団にも襲い掛かっています。
極端に言えばお笑いサタケ道場のほとんどの劇団員は緊急事態宣言後、丸1か月半無収入です。

僕はといえば、本来お芝居でしか収入はないので2月から基本的には収入が絶たれました。

まあ、いろんな制度もありますし、自分から色んな提案をして何とか無いはずの収入をひねり出して生活しているという現状です。

劇団自体もそれだけで劇団員が食べていけるほどの収入ではない上にあらゆるイベントが中止になり、イベント収入自体も消滅しました。

そんな中で自分たちの芝居を売って生計を立てていくという方法は当然考えました。

また、その道は今でも捨ててはいません。
もちろん僕たちだって収入がなければ生きていけません。

当然面白いお芝居を作って沢山のお客様に観てもらって、その対価で生きていきたいと思っています。
劇団員みんながお芝居を沢山出来て、技術も経験も積んでどんどんいい役者になっていける環境が作りたいと思っています。

ただ、この新型コロナウイルスという僕たちが経験したことのない脅威の中、もっとも価値がある事(お芝居)はお金をもらうという方法だけでやりとりしない方がいいんじゃないかな?という事。

正直、今はそのベストな方法は見つけられていません。

でも、本当だったら出来ていたかもしれない4月~6月の劇団の本公演、ここで試したかった事は無料公演の枠を作るというやりかた。
これは全然考えもまとまっていなくて色んな方法を考えていました。

本当に困っている人の中で僕たちが作る作品を楽しみにしてくれている人がお金のことを気にせずに見る事が出来る環境を作りたいと思いました。

そのために収益の事は後回しにしてまずは無料で作品を公開できる環境を作りました。

今はYouTubeとこちらのnoteのみですが劇団の資金にもう少し余裕が出来たら、有料の動画サイト(vimeo)や有料の動画プラットフォームを持つこともできます。
※vimeoは月額のお金が必要になるので現状の無料配信には向いていませんが劇団としては登録は済ませていて、今後の配信に向けて準備をしています。

ですがどれもお金が掛かります。

普通に劇団が公演を行うには結構なお金がかかります。

うちの様な小さな劇団でも例えば2018年の月刊公演では毎月劇場費を含めて毎公演300,000円前後のお金がかかっていました。
年間で11本の本公演でかかった費用は330万を超えています。
でもこれでも実際かなり安い方です。

スタッフさんにまともなギャランティも払えないので年間公演のほとんどは僕が一人で音響・照明をしていたり。

無理を言って破格でやってもらったりしました。

キャストさんにはチケットバック程度しか発生していません。

それでもチケットノルマというものだけは嫌だったのでノルマ制度は廃止しました。

チケットノルマというものを知ってらっしゃらない方もいると思うので簡単に説明すると。
キャスト一人一人に与えられたチケットを一定数購入する制度の様なものです。

例えば1500円のチケットを20枚で30,000円。
キャスト20人いればそれで600,000円の収入になります。
主催者はそうすることで400席分のチケット売り上げを確保できます。

でもこれ、はっきりいって役者には何のメリットもありません。
※役者のチケットを売る意欲を上げるとか色んな理由を主宰側は付けますが・・・
※若い役者などの場合は大きめの舞台でもチケットノルマは発生します。
※集客力

小劇場の役者が貧乏になる原因の一つがチケットノルマだったりします。

なのでうちの劇団はチケットノルマを10年以上前に廃止しました。

その代わり赤字になれば劇団が丸々それをかぶります。
まあ、主催者なので当たり前なんですが、動員もない劇団では正直厳しい・・・

そこは不満に思ってもじゃあ自分たちのせいなので仕方ありません。
動員を増やすしかチケット代をあげるしか無いのかもしれない。

ただ、そうするとどんどんお客さんの負担が上がります。
僕らが楽になるためにお客さんの負担が上がる。
これは経済の仕組みなんでしょうがなんか切ないですよね。

でも。これって僕たちの芝居の値段ではないんです。
僕たちの芝居にかかった経費の話なんです。

では単純に僕たちの芝居の値段っていくらなんだろう?と思います。

僕たちの芝居は4,000円とっても安いとは思っていません。

まあ、それをそのまま出したら高いと言われますが・・・

じゃあ、チケット代っていくらだったら適切なのか?

その辺はいまだにちゃんとした答えは出ていませんがこちらの記事に劇団のお金のことや今回の無料への考えも書いていますのでお時間ありましたらお読みください。

4月から始めた現在の劇団の活動は
・毎日サタケ小説(現在一時休止中)
・月刊お笑いサタケ道場WEB版(ボイスドラマ)
になります。

これからどんどんと種類や作品数を増やしていく予定です。

4月公開分までは応援してくれるお客様のおかげで無料公開であるにも関わらず何とか劇団が維持できる最低金額までは支援をいただく事ができました。

これは本当に嬉しくてありがたいです。

僕たちの劇団の作品にちゃんと価値を見てくれて支援してくれた方がいる
それ自体が金額以上に僕たちへの対価(報酬)となって僕たちは未来に向かうことが出来るんです。

僕たちはもっと面白い芝居を作れる自信があります。

例えば毎月僕たちが作品を作り続けることによって毎月50人のお客さんが僕たちを2,000円応援してくださったら。
僕たちは劇団の最低限の維持費50,000円を確保して、残りを劇団員や出演者で割ります。

1ヵ月以上かけて僕たちの収益は一人当たり数千円とかでは生きてはいけないですが、それでも赤字ではない状態です。大きな一歩です。

もっと僕たちを応援してくれる方が増えれば、月100人の方が1,500円応援してくださったなら、僕たちはキャストのギャラを上げる事が出来るし、お客さん一人当たりの金額も下がる様になります。

200人の方が毎月1,000円応援してくれるようになれば、劇団の事務所や稽古場を維持する事が出来ます。

それだけでは僕たちはとても食べていくことが出来ません。
でも自分たちの力を付けていくことが出来るようになります。

また、数人の限られた方が多い目の支援をしてくださる場合はその方たちの支援だけで成立する場合もあります。
そうすればそれ以外のお客さんからはほとんどお金をもらわなくても劇団は動いていけます。

今自分たちが目指しているのは
・沢山の人に楽しんでもらえる芝居を作り続ける事
・そしてそれが「舞台・イベント・映像」の仕事にも繋がる事

そうすれば大きな収入になり、劇団の運営費になります。
※お仕事下さいm(__)m

もちろん例に挙げた金額は舞台では無理です。
100人以上のキャパの劇場だと実際はこれの10倍はお金が必要になります。
※一部カフェ公演では計算上はこういう事が出来ます。
※そういう事もあり、実は4月~6月にお笑いサタケ道場がやろうとしていた本公演はすべてカフェ公演でした。
※それが今回の呪空喫茶・無有少女の原案です。

実際の公演ではなかなか難しいですが、今のネット配信のみの環境であればやり方を工夫すればそういう事が出来るかもしれません。

今後、劇団はどうあるべきなのか、どう生きていきたいのか?

今、様々な劇団が必死に考えて行動しています。
そのすべての決断を尊重します。
実際に正解なんてないんだと思います。

僕たちお笑いサタケ道場はまず
劇団の一番の武器である芝居作りを止めませんでした。

そしてそれを無料で提供できる環境を作りました。

これは新型コロナウイルスが終息して僕たちが舞台に戻ってきても何等かの方法で継続していきます。

すべてを無料にすることは出来ませんが必ずどこかに
・無料で見れること
・どこでも見れること

この二つを実現できるように努めていこうと思います。
それこそが劇団が今後発展していく大きな道にあると思っています。

3回まで続いた「新型コロナウイルスの存在する世界で劇団はどう生きるのか?」はこの回で終了します。

今後も色々な考えで劇団の生き方を模索する記事を書いていこうと思いますのでフォローやスキボタンお願いします。

お笑いサタケ道場を応援してしたいと思ってくださった方はお気持ち(100円~)をサポートしていただけるととても助かります。
劇団へのその他の支援方法などはこちらの記事をご覧ください。


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