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owarimao はなぜレースを編むのか。

 owarimao は読書と編物が好きです。パートタイムのドイツ語講師であり、主婦でもあります。
 クロッシェ(かぎ針編み)レースを自分でデザインし、編物ファンが集うサイト「Ravelry」で発表しています。
 古いレース編みの本をけっこうたくさん持っています。それらのことや、ほかの本のこと、自分の作品のことなどを書いていこうと思います。

 編物は子どものころ、母から手ほどきを受けました。初めにかぎ針、次に棒針だったと思います。でもどちらもごく基本的なことを教わっただけで、大したものはつくれませんでした。
 20代の終わり頃から独学でレース編みをするようになり、しだいにのめりこんで、技術をレベルアップさせていきました。レースの本もいろいろ集めました。
 そのうち、手軽にできるレース編みだけでは満足できなくなり、「着るものもちゃんと編めるようになりたい」と思うようになりました。日本ヴォーグの通信講座で棒針編みを習い、講師の資格も取りました。おかげで今では、お手本を見れば、セーターでも手袋でもそのとおり編むことができます。でも……
 やっぱり私は、レース編みが好きなんです。
 着るものはどうしても流行り廃りがあるし、サイズも気にしなければならない。質のよい毛糸は高いのに、街に出れば安いニット製品が大量に売られていて、複雑な気持ちになることもあります。
 でもレースは自由です。材料費は安いし、ゲージをとらなくていいし、たくさんの作り目もいらないし。思い立ったとき、本当に気軽に編み始めることができます。
 子どものころ、家には母が若かったころの雑誌がありました。そこに載っている60年代ファッションはとてつもなく流行遅れなのに、レース編みだけは輝きを保っているように見えました。
 きっちり幾何学的な形をしたレースには、時代や文化圏の違いを超越した普遍的な美しさがあります。実用性はあまりないかもしれないけれど、そのかわり、あらゆる技巧を凝らすことができます。
 2018年に Ravelry のアカウントを取りました。もっと早くそうすればよかったと思っています。レース編みの世界にも技術革新のようなものがあって、昭和の時代にはなかったような斬新なデザインがたくさん生まれていたんです。海外デザイナーの作品はとても刺激的で、古い自分が破壊される感じでした。それを予感し、恐れていたために、なかなか Ravelry に飛び込むことができなかったのかもしれません。でももう、世界は変わりました。
 まだまだ数は少ないですが、自分のオリジナルのドイリー(小型のレース)をデザインし、編図に英語の説明をつけて Ravelry で販売しています。写真の撮り方を工夫したり、グラフィックソフトで編図を描いたりしていると、気分だけはプロデザイナー。苦労は多いけど楽しいです。
 






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