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昭和39年。エミーグランデ新発売! の年に➀

 昭和39年に出た『美しいレース編』という本から、自分で編んだ作品をすでに6点紹介させていただきました。

 この本の表紙をもう一度お目にかけます。

昭和39(1964)年

 前に一度書いたように、この本はもともと実家にあったのですが、ぼろぼろで表紙も裏表紙も失われていました。だから上の写真は、ネット古書店を通じて買い直した本です。
 買い直して初めて「こんな表紙だったんだ」とわかりました。しかしそれ以外にも発見がありました。
 この本の裏表紙がどんなのかというと……

文部省後援
「第6回オリムパス全国手芸コンクール」は
5月10日から受付を始めます
定価180円(50g)

 ごらんのとおり「オリムパス エミーグランデ」の新発売を知らせる広告です。今の日本でレース編みをする人なら、知らない人はいないくらいの超ロングセラー商品。筆者もお世話になっています。今年で新発売から60年、つまり還暦なんですね。
 ということは10年前は、50周年だったわけです。この年、編物の季刊誌『毛糸だま』には、エミーグランデ発売50周年を記念する記事が4回にわたって掲載されました。
 そのうち最終回のタイトルは『大衆化が生み出した50年ブランド』となっています。

 今から50年前の1964年。その年はアジア初の東京オリンピックが開催された記念すべき年でした。1950年代後半に三種の神器といわれた白黒テレビ、洗濯機、冷蔵庫。60年代半ばにはそれに替わり、新・三種の神器として、3つのCの「カラーテレビ・クーラー・自動車」が普及し始めます。(…)
 朝のワイドショーや午後8時台のホームドラマが始まったのもこの年です。日進月歩で家事労働が軽減され、一般的な女性たちもレース編みなどの趣味に時間を割けるようになりました。(…)
 ちょうどその頃から世界的なビートルズ旋風が起こり、66年には遂に来日を果たします。(…)
 そんな60年代半ば、時間を要する一部の女性たちだけの優雅な趣味だったレース編みに画期的な糸、エミーグランデが発売されます。従来より太く、編みやすさを追求したエミーグランデの発売によってレース編みの大衆化を一気に押し進めたのです。

『毛糸だま』2014年冬号No.164
(執筆者不明)

 オリムパス製糸さんのリンクを貼っておきましたのでよかったらごらんください。同社の歴史がわかって面白いです。下のような「エミーグランデ50周年記念リース」も載っています。

『毛糸だま』に載っていた広告より。
デザイン・製作は松本かおるさん

 『毛糸だま』の2014年秋号には、このリースの中のお花をコラージュした素敵なバッグが載っています。リースをデザイン・製作された松本かおるさんが自らアレンジされたそうです。使用糸はもちろんエミーグランデですね。
 ところで表紙・裏表紙とごらんいただきましたが、それぞれの裏面もやはり広告になっています。それらがまた面白いので、あしたはそれを見ていただこうと思います。
(つづく)








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