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とあるKPIを伸ばすまでの試行錯誤の記録と4つの抽象的な学び

こんにちは!株式会社インタースペースでRECOTRIPという旅行SNSのPMをやっている川野(@owano49)です。

このnoteは「モバイルアプリマーケティングアドベントカレンダー2021」の10日目の投稿です。面白かったら是非ハッシュタグ「#アプリマーケアドベント 」を付けてシェアをお願いします!👏

去年のアドベントカレンダーで書いたnoteがこちら。読んでくれた方から「より詳しく聞きたい!」とDMをもらってZOOMで話したり、繋がりが増えました。今年も参考になる情報を書けるように頑張ります💪

前提・今回話すこと

まずrecotripについて知らない人が多いと思うので、簡単にサービスをご説明します。recotripは”旅行好き”があつまる旅行SNSです。いわゆるバーティカルSNSというやつで、他業界だとRettyさん、LIPSさん、Roomclipさんとかの旅行版です。アプリを2019年にリリースして2年ちょっと、Webは1年ちょっとというまだまだ若いサービスです。

サービスの構造がイメージしやすいように簡易的なグロースサイクルを貼ります。投稿が起点となって閲覧ユーザー向けの価値も上がり、シェアやリアクションが増えることでさらに投稿が増える・・・という循環です。

グロースサイクル

今回のnoteでは、グロースサイクルの右上にある「いいね!等のリアクションが増える」という箇所、つまり「サービス全体の"いいね総量”をどれだけ増やせるか」という課題に対する試行錯誤の記録を書きます。サービス運営やグロースに携わっている誰かの参考になれば良いなと思います😇

■今回話すことの要約
数字上がらない😱(投稿ユーザーが増えない)

ココがボトルネックか🧐(ライトユーザーが定着しない)

原因はコレか💡(承認ループが回ってない)

このKPIを改善するぞ💪(いいね数を増やす)

施策撃ちまくる🛠(プロダクト、マーケどっちも)

改善📈(でももっと上げたい)

実際に数字がどう変化したか? 〜施策の結果〜

さきに結果をお伝えすると、「どれだけ"いいね"を増やせるか」にフォーカスした結果、以下のような数値改善ができました。(具体的な数値はマスキング🙇‍♂️)

■いいねUU、いいね件数(週次)
デコボコはあるものの、いいねUU・件数ともにどちらも右肩あがりで推移しました。いいねUUはMAXで施策開始前の2.5倍ぐらい・いいね件数は5倍ぐらいになりました。(もともとが低すぎたのかも...)

いいねUU・いいね件数

■投稿リテンション率の改善
最終的に一番上げたかった指標である投稿リテンション率も改善しました。季節要因、2020年末のGoToキャンペーン終了による影響なども多分にありますが、2021年1月と比較して+44%の改善📈をしました。GoToキャンペーン真っただ中の前年同月よりも改善できているのでポジティブな結果と捉えています。(とはいえ、もっと改善が必要・・・)

どのようにみるべき指標を決めたのか? 〜KPIの選定〜

■この章で話すこと
数字上がらない😱(投稿ユーザーが増えない)

ココがボトルネックか🧐(ライトユーザーが定着しない)

原因はコレか💡(承認ループが回ってない)

このKPIを改善するぞ💪(いいね数を増やす)

なぜ「投稿」を増やしたいのに「いいね」を指標にしたのか?そこに至るまでも色々試行錯誤があったので、経緯を話します。図解すると以下のようなプロセスを辿りました。

改善対象の決定

■①これまでの経緯(ぜんぜん数値が上がらない期)
サービス初期のあるあるかもしれませんが、それまでは割とヘビー投稿ユーザーからの要望が多い機能や、問い合わせで上がってきた機能の開発を優先していました。要望の多かった機能のリリース後も「めっちゃ満足!」と言ってくれてるし、機能をした利用したユーザーの投稿リテンション率も非常に高かったのですが、サービス全体の投稿UU・投稿件数が積み上がらない時期がありました😭😭😭

いま思えば当たり前なのですが、ごく一部のヘビーユーザーにフォーカスしすぎていて、その他大勢のライト層へのアプローチができていなかったのです。立ち上げ初期からコミュニティを重視し、熱量の高いヘビーユーザーと共にサービスを創り上げてきたからこそ陥りがちな罠にハマってしまったのかもしれません。

そこで、そもそも「ボリュームゾーンはどこなんだっけ?」とイチから既存ユーザー分析をやり直しました。

■②ボリュームゾーンの特定(定量分析)
顧客起点マーケティング』を参考に、ユーザーの分布を可視化しました。すると、投稿数が少ないライトなユーザーがボリュームゾーンを占めており、さらに、それらセグメントは投稿リテンション率も低かったのでフォーカスはすぐに決まりました。(ちなみに構成比◯%とかハコのサイズ感は適当です)

内訳分析

これまでは上図の右下の「51投稿以上してる既存ユーザー」向けを中心に開発・改善をしていたということです。後から振り返るとそりゃそうだという感じですが、母数が少ないセグメントの投稿RRがどれだけ改善してもサービス全体としてのインパクトは少ないですね😰(もちろん熱量の高いヘビーユーザーは投稿件数ベースで影響度が高く蔑ろにはできません)

■③離脱要因の特定 → ④KPI決定
改善すべきボトルネックが「投稿数が少ないライトユーザー」だと特定できたので、次は原因把握です。アプリDL⇒会員登録⇒写真アクセス許可⇒投稿、という非常に高いハードルを一度は超えたにも関わらず、なぜ使うのをやめてしまうのか?という点です。

ここでは、ユーザーインタビューで仮説を抽出⇒抽出した仮説をユーザーアンケートで定量的に検証。という感じで、入念に原因を調査しました。紆余曲折あり、最終的には以下3点の原因に集約できました。

理由1.コロナ禍なのでそもそも旅行に行けない
理由2.旅行記録・ログ機能が弱い(思い出の振り返りができない)
理由3.承認欲求を満たせてない(投稿しても誰からも反応がない)

そして、ユーザーセグメント別に見るとライトユーザーは理由3が突出していたので、承認欲求を満たすことにフォーカスが決定。

承認欲求を満たすと言ってもリアクションの種類を増やすのか、いまあるリアクションの総量を増やすのか、など色々な切り口がありますが、ここでも紆余曲折あり最終的には「どれだけ”いいね”を増やせるか」にフォーカスが決まりました。(とはいえ、いいね数だけではなく別の切り口で承認されてる感を出す施策も同時並行でやっていました。。。)

どんな施策を行ったか? 〜施策の実行〜

■この章で話すこと
施策撃ちまくる🛠(プロダクト、マーケどっちも)

改善📈(でももっと上げたい)

フォーカスが決めれば話しは早く、ひたすら施策を考える⇒実行する⇒測定する⇒改善する・・・を繰り返しました。回し者ではないですがReproをフル活用することで開発リソースを使う前に施策の検証をしてみたり、また、ようやくプロダクト側にもABテストを導入して、正しく施策を評価できるようになりました。

■例えばこんな施策をやりました ※ハズレ施策も含む※
せっかくなので、こんな施策をやってみました!という事例を一部ご紹介します。ちなみに、効果の高い施策だけではなく効果の低かった(無かった)施策や、超絶最小リソースで実験的に行った施策も含んでいます。

施策1

施策2

施策3

これら含めて数多の施策を行った結果、冒頭であげたようないいねUU、いいね件数といった数値を伸ばすことができました。(とはいえ、まだまだ熱量を高くする余地はかなりあるので、これからも追求する必要があります)

どんな施策が効いたのか? 〜4つの抽象的な学び〜

以上がrecotripでKPI(いいね)を伸ばすまでの試行錯誤の記録ですが、いかがでしたか?かなりたくさんの施策を打ってきたのですが、いいね以外の別の指標でも再現できるように「どんな施策が効いた/効かなかったのか?」という抽象的な学びの一部を公開します!(結果、一般的にいわれることに帰結してますが・・・)

■【学び1】狙ったKPIに直接効く施策に予算・リソースを集中する
よく言われる「選択と集中」というやつです。直接的な施策、間接的な施策があったときにrecotripの場合は直接的な施策が一番効きました。

例:いいね率を上げるために間接指標である会員登録率を上げる施策もやりましたが、最終的にそこまでポジティブな結果は得られず。(そもそも会員登録率が高かったのかも)

■【学び2】正しいユーザーに正しく伝える
「入り口でほとんど決まる」というやつです。同じプロダクトを提供してたとしても、「誰に」「何を」訴求するかを変えるだけでその後の使い方が全然変わってくるという学びがありました。

例:広告クリエイティブ、ストア画像、キーワードなどを「旅行情報を探せるアプリ」→「旅行SNSアプリ」よりの訴求にシフトした。すると”ROM専”が減っていいね率・投稿率が上がった。

例:理想的な使い方をしてるユーザーに類似するターゲット群に広告配信をフォーカスした

■【学び3】ボリュームゾーンに施策を打つ
こちらも「大通りに施策を打つ」という鉄板原則です。例に漏れずrecotripも当てはまりました。

例:これまで奥の画面で出していたポップアップの効果が良かったので、より露出が多い手前の画面で発動させた。全く同じ訴求内容だったが母数が多いため圧倒的にいいねUUが増えた。

■【学び4】ファネルの1つ手前の水量を最大化する
こちらも効果的でした。recotripの場合は、いいねの1つ手前のファネルであるクチコミ詳細画面の露出回数・閲覧回数をとにかく増やすように施策を撃ちまくりました。いいね率も悪化せずに結果としていいね数増加に大きく貢献しました。

例:良い投稿を毎日1つプッシュ通知で紹介した。

例:投稿完了画面に「みんなの新着投稿をみる」ボタンを設置した。

さいごに

拙い文章でしたが最後まで読んでいただきありがとうございました!もし、面白かった、参考になった!という方は是非いいね!やハッシュタグ「 #アプリマーケアドベント  」を付けてシェアをお願いします!👏

また、今回の話をより深く聞きたい、より具体的な話も聞いてみたい、という人がおりましたら、お気軽にTwitterでメッセージをいただけたら幸いです^^あと、シンプルにプロダクトマネージャーやアプリマーケターとの横のつながりも切望しているので、ぜひご連絡ください🙇‍♂️

それでは引き続き、「モバイルアプリマーケティングアドベントカレンダー2021」をお楽しみくださいませ!

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