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【質問箱】卵巣がんかも、運動はだめ?

私が代表を務める卵巣がん体験者の会スマイリーでは匿名で質問をしたい方のために「質問箱」を設置しています。
回答はスマイリーのTwitternoteなどで回答していきます。
今日の質問と回答は以下のとおりです。

お答えします

突然のがん告知・・・驚きますよね。

お返事にお時間をいただき申し訳ありません。
健康だと思っていたのに突然の卵巣がんという診断をうけ驚きと不安でいっぱいであるなかでのお問合せありがとうございます。

卵巣がん体験者の会スマイリーに相談をされる方の多くが、がん告知後の治療をはじめある程度時間が経った方ではあるので「卵巣がんになった自分」をなんとか受け止めようとしている方が多いのですが、それでも「卵巣がんになったことで自分はダメな人間になった気がする」「医師からは再発するかどうかはわからない・余命は今は考えなくていいなど言われてもがんになったことで死を身近に感じて毎日泣いている」「病気になって家族に迷惑をかけている気がして毎日が楽しめない」なんてお話を伺うことは少なくありません。
風邪や骨折などと違い、がんは患者さんの尊厳や気持ちを大きく傷つける病気なんだなと感じています。
メンタルはボロボロ・・・本当にそうなのだと思います。

がん情報サービスに心のケア(リンク)という項目があります。
PDFファイルへのリンクで申し訳ないのですが、このなかに「がんと心」という冊子が提供されています。
患者さんががんと告知された不安や悩みによるストレスを感じてもおおよそ2週間くらいかけて波はありつつも回復の傾向を示していきますが、気持ちの辛さが回復しないことが続くようであれば専門家のケアも必要かもしれません。
がん告知後の落ち込みはあなたの心が弱いからではありません。先にも書きましたようにがんになることは、これまでの自分の健康を否定されたような辛い経験なのです。

がん手術・治療前の運動について

いちばんいいのは「運動をしていいか主治医に確認してもらうこと」ですが、手術前ってそれほど頻繁に病院に通うわけでもありませんものね。

お医者様からはお買い物に行ってはいけない・仕事に行ってはいけない・家事をしてはいけないなど指導を受けていませんよね。
それで日常生活で特に怠さや痛みなどがないのであれば、ウォーキング程度の運動であれば問題はないのではないかなぁと思いますが、ご不安なようであれば病院に電話していただき、婦人科受付に繋いでもらって主治医に確認してもらう方が安心です。

がん手術・治療後の運動について

卵巣がんの手術・治療後の運動については、卵巣がんは腹部を大きく切り開きます。つまり腹部筋肉を切るので主治医と話し合うことが大切です。

また抗がん剤の副作用で手足が痺れたり、入院期間が長くなると筋力が衰えたり体力が落ちることもあります。

2019年にブリティッシュコロンビア大学が発表した「がんサバイバーのための運動ガイドライン(リンク)」があり、私は患者さんにご紹介することがあります。
低いレベルの運動強度から徐々に始めていく形になるのですが、ウォーキングなどを続けていくことで体力の回復を図ること、またそれにより不安や苦痛も軽減して生活の質があがることなどが書かれています。

何人かの患者さんに紹介をしてみたところ「車でスーパーに週1で買い物にいくのを徒歩に変えてみた。最初はスーパーにいくだけで疲れたけど、徐々にそれが辛くなくこなせるようになってきて自分が元気になってると実感した。毎日必要な食材を新鮮に食べれるようになった。少しだけ落ち込みが減った。」といった感想をいただくこともあります。
一方で続けられない自分はダメだーという感想をいただくこともあるのですが、無理をしないが大切なので徐々にできる範囲で歩きましょうねとお話ししています。

治療後に大切なこと

よく患者さんから「治療後の再発が不安なので食事など気をつけることはありますか?」と尋ねられることがあります。「これを食べたら再発を防げる」「これを食べたら再発する」みたいな食材は今の所わかりません。

ただ、卵巣がんは非常に厄介な病気で手術で取り切れたと思っても、抗がん剤を予定通り完遂しても再発をしてしまう患者さんがおられます。

もちろん再発せずに元気でお過ごしでいてもらいたいですけど、もしもの時のために以下のことをお話ししています。

  • バランスの良い食事

  • 適度な運動

実はがん治療で使うお薬のなかには「糖尿病既往歴があると使えない」「お薬を飲んでもコントロールができない高血圧症には使えない」ものが複数あります。
せっかく治療薬があってもそうした既往症で使えないというのは勿体無いです。
参加できるかもしれない新薬の治験があっても検査値が悪いことで参加できない場合もあります。
また体力がないと治療の副作用に耐えることが難しいこともあります。
万が一再発をしても万全の体調で治療が受けられる体に近づけておくということは大切です。

治療後に強度の高い運動をしたい場合

卵巣を切除することで更年期障害のような体調不良を感じられる方、骨密度が低下する方もおられます。

もし、卵巣がん治療後にマラソンを走りたい、トライアスロンにチャレンジしたいなど思われた時は「スポーツの知識(アスリートのサポート経験)がある婦人科医師」もおられます。
そういった医師に繋いでもらい専門的な相談をすることも可能です。

先日行われたホノルルマラソンですが、リンパ浮腫を経験されている子宮頸がんサバイバーの女性が無事10キロ完走されているのをネット上で拝見して私も励まされました。
(私は運動するくらいなら寝てたいという方で運動が超苦手ではあるのですが・・・)

頼りになる患者会があります

キャンサーフットネスさん(リンク)はがんと運動に取り組まれている患者会です。
個別の相談に対応されているかどうかはわかりませんが、がんと運動に関するさまざまなプログラムを提供されています。

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