交通結節点の強化と跡地利用について考える

国では、「バスタプロジェクト」をはじめ交通結節点の機能強化を推進するにあたり、機能強化に向けた考え方や推進方策について検討を行うため、バスタプロジェクト推進検討会を2020年9月に設置しました。

バスタプロジェクト推進委員会において協議・議論が実施され、2021年4月に『交通拠点の機能強化に関する計画ガイドライン』が策定されています。

今回は、当ガイドラインで示されている概要と、バスタプロジェクト推進で考えられる旧バス停留所跡地発生について考えてみようと思います。

■そもそもバスタとは？

バスタとは、『バス・タクシーなどのターミナル』という意味（所説あり）であり、交通結節点として機能する施設を示します。

2016年4月に「新宿バスタ」が供用開始され、これを機に「バスタ」という名が全国的に定着したと感じている。
ちなみに、バスタ新宿が供用される直前、筆者は就職活動中であり、新宿の高速バス発着場が飛び飛びになっていることで、迷子になってしまうことが多々ありました。

■交通結節点強化の必要性

先でも述べたように、国では「バスタプロジェクト」を含めた交通結節点の強化を進めています。
バスタプロジェクトの必要性が増した要因としては、大きく２つあります。

要因①：高速バスの広がりと需要増

全国的な道路ネットワークが進められ、広域的なアクセス性が高くなりました。広域的なアクセス性が高くなったことにより高速バスの需要が高くなり、利用者が増加しています。

高速バスの利用者同行（上図）
引用元：国土交通省　交通拠点の機能強化に関する計画ガイドライン

 高規格幹線道路の整備延長の推移（上図）
引用元：国土交通省　交通拠点の機能強化に関する計画ガイドライン

要因②：シェアリングモビリティの普及

近年、乗用車の保有台数は横ばい傾向にあり、その反面でカーシェアの需要は高まりつつあります。一時に当たり前だった「マイカー」は、今の若い世代にとっては、必ずしも保有する必要がない対象としてみている傾向があるそうです。

乗用車の保有台数の推移（左上図）
我が国のカーシェアリング車両台数と会員数の推移（右上図）
引用元：国土交通省　交通拠点の機能強化に関する計画ガイドライン

■バスタプロジェクトが目指す方向性

バスタプロジェクトは、交通拠点における「人中心の空間づくりの推進」「モーダルコネクトの強化」「官民連携の推進」「ICT等を活用した交通マネジメントの高度化」などの取り組みの具体化や、交通ネットワークのトータルマネジメントを目指すものとしています。

バスタプロジェクトのコンセプト（上図）
引用元：国土交通省　交通拠点の機能強化に関する計画ガイドライン

■バスタ整備による跡地発生の懸念

国では、バスタの類型として、以下のように設定しています。

◎マルチモードバスタ
既存の鉄道駅を中心とした高速バス・路線バス・タクシー、航空、旅客船等の複数の交通モードが集約される総合的な交通拠点
◎ハイウェイバスタ
高速道路のサービスエリア、パーキングエリアあるいは高速道路に隣接した施設を活用し、高速バスからの乗換え・乗継ぎを行う交通拠点
◎地域のバスタ
地域の拠点施設と一体、またはバスを中心として、乗用車、自転車、徒歩等を含めた交通モード相互の乗換え時の利便性向上・賑わい創出等を目的とした交通拠点

特に、「マルチバスターミナル」は、あらゆる交通手段が集まり、ヒト・モノが集まりやすい都市拠点としての役割を期待できます。

また、一方で交通機能を集約したことにより、バスタ周辺に乗降機能が無くなった跡地発生が懸念されます。
バスタができるような場所は都市部であることから、跡地の活用が今後の課題としてあげられると考えられます。

■交通機能集約に伴う、跡地の暫定利用

愛知県名古屋市では、久屋大通公園の再開発として、2020年に北側をリニューアルオープンしています。南側についても、数年後にリニューアル工事を実施予定となっています。

また、2019年に南側にあった市バス乗降場所（栄バスターミナル）を廃止し、オアシス21内のターミナルに集約しました。しかし、集約完了から久屋大通公園の南側の本格整備まで、数年あることから、バスターミナル跡地を「ミツコシマエ　ヒロバス」として、暫定利用されています。

このように、交通結節点の強化と併せて発生する課題（跡地発生）についても、同時に検討解決しておく必要があると考えています。

「ミツコシマエ　ヒロバス」の利用イメージ（上図）
引用元：ミツコシマエ　ヒロバス　HP

Photo by Takuma OBARA

■あとがき

新宿バスタの整備完了が、ちょうど会社員になりたてで、「もうそんなに経つのか…」と実感しています。最近、ガイドライン関係をよく目にするような気がします。

先週の金曜日、書けませんでした。今回の題材が専門外ということもあったので、読み込みに時間がかかりました。その分、勉強になったので結果的に満足です。

Cover Photo by MITSUKOSHImae HIROBAs HP