ヲルガン座読書部企画『本読む遺影』から生まれたフォトブックのはなし
2019年11月に撮影いたしました、ヲルガン座読書部さんの企画「本読む遺影」をフォトブックにまとめました。
写真撮影、装丁の制作、フォトブックの構成・編集などを担当しております。
依頼者でもあるヲルガン座読書部部長のオメガネ堂さんと相談を重ねながら制作をすすめていきました。
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『本読む遺影』とは
「自分がいつか亡くなる日が来たときに、本を読んでいる写真を遺影につかいたい」
「好きな本と一緒に写真を撮りたい」
といった想いから生まれた
本が好きな方々が集まるヲルガン座読書部さんの企画です。
今回参加された部員のみなさん、蔵書から本を厳選し撮影にのぞんでくださいました。
遊んでいるときやなにか特別なことを目の前にしたときはよく写真に撮ると思いますが、日常になじんでいる読書という行為が写真に撮られる機会はなかなか少ないですよね。
"自分が本を読んでいる写真"って、振り返ってみてもなかなかないものです。
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「 本読む遺影 」についての解釈
制作を進める上で、自分なりに「本読む遺影」とは何か?ということへの理解を深めていきました。
一般的な遺影ではもちろん本はもちません。
それでは「本を持った遺影」っていったいなんだろうか?
この場合の「本」あるいは「本を持つという行為」は、自己表現の一部にあたるのだと思います。
故人が、どんな本が好きで、どんな作家が好きであったのか。
ましてや、遺影としてともに写る本となると、人生に影響をあたえたような、個人にとって生涯をとおした、とても思い入れの深いものです。
つまりこの遺影は、限りなく個人的なものごとなんだと思います。
「本」と「遺影」と「写真」そして「人」
そこに共通するのは
「記憶」と「記録」
そして、残るものと薄れていくもの。
肉体は朽ちていきます。
そして生き続ける人たちの記憶からも、ちょっとずつ静かに薄れていくことになるのだとも思います。
でも、故人を偲ぶための「遺影」という「写真」は、これからも生き続けていくかかわってきた人たちの「記憶」をよび起こすための「記録」となって、残っていくのでしょう。
本を持つ写真にすることで、より鮮明に記憶が蘇るのかもしれない。
また故人が亡くなったあとも残りつづけるその本を開くことで、その故人を偲ぶことにもなるのかもしれません。
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装丁の文字について
今回、特に気に入っている点は装丁の文字です。
暗い部分を
「 忘れていくこと = 忘却 」
明るい部分を
「 覚えていること、思い出すこと = 想起 」
として
記憶のコントラストを視認性のコントラストに置きかえました。
下方に暗い部分を持ってきて、上方に明るい部分を置くことで
魂が昇華していくようなイメージも持てるかもしれません。
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写真をかたちに残すということ
このフォトブックは、いま現在よりも、たぶん時が経つほどにフォトブックとして形に残したことに意味を持ってくるのだろうと思っています。
亡くなるとき。亡くなったあと。
企画に参加したヲルガン座読書部のみなさんとそのご家族が
大切な人との想い出を思い出す
そのきっかけのお手伝いがこのお仕事でできているといいなぁ。
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先日、撮影させていただいた部員のみなさんへフォトブックをお渡しいたしました。
またあわせて、読書部さんからヲルガン座さんへフォトブックが献本されました。
献本されたフォトブックはヲルガン座さんの店内に置かれておりますので、もしヲルガン座さんへお立ち寄りになられる機会がございましたら、ぜひお手にとってご高覧くださいませ。
音楽喫茶 ヲルガン座
ヲルガン座とは、ご飯があったり、お茶をしたり、お酒をたしなんだり、ライブをみたり、本をよんだり、あざらしがいたり、占いがあったり、あまいものがあったり、おしゃべりなどしたり、そんなお店です。
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● 場所:広島県広島市中区十日市町1丁目4-32 天国ビル2F
● 営業時間
○ 平日:17:30 - 26:00 ( L.O:25:30 )
○ 土曜日:11:30 - 26:00 ( L.O:25:30 )
○ 日曜日:11:30 - 24:00 ( L.O:23:30 )
◎ 定休日:月曜日
● TEL:082-295-1553
● MAIL:organzainfo@gmail.com
● HP:http://organ-za.com/
ヲルガン座さんではほぼ毎日、音楽ライブや演劇、バーレスクや部活動など、さまざまなイベントが行われております。
読書部さんも、月に1度、みんなであつまって本を通りした交流が行われております。
気になった方は、ヲルガン座さんのホームページ内スケジュールをご確認のうえ、ぜひ参加されてみてください。
いただいたサポートはOutriggerLabの活動費として、クリエイターのサポートに活用させていただきます☺️