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肘部管症候群(Cubital Tunnel Syndrome)①

肘部管症候群は、圧迫性の神経障害の代表的な疾患ですね。その病態などをまとめていきます。


参考引用

Andrews K, Rowland A, Pranjal A, Ebraheim N. Cubital tunnel syndrome: Anatomy, clinical presentation, and management. J Orthop. 2018 Aug 16;15(3):832-836. doi: 10.1016/j.jor.2018.08.010. Erratum in: J Orthop. 2020 Dec 14;23:275. doi: 10.1016/j.jor.2020.12.003. PMID: 30140129; PMCID: PMC6104141.

肘部管症候群

概要

肘部管症候群は、肘に存在する肘部管で尺骨神経が圧迫される疾患で、手根管症候群に次いで上肢で2番目に多い圧迫性神経障害とされます。
尺骨神経の圧迫は、その走行に沿って複数の箇所で起こる可能性があります。
感覚障害と運動障害の両方を呈する可能性があり、特に運動障害を呈する場合は、予後があまりよくないとされます。
基本的には、保存療法、症状によっては手術を行うこともあります。


尺骨神経と肘部管

尺骨神経は、C8とT1の神経根から腕神経叢、腕の前筋肉区画を通り、最終的に腕の内側筋間中隔を貫通して後筋肉区画に移行します。
肘で肘部管と呼ばれるトンネルを通ります。

肘部管は天井がOsborne靭帯で構成されています。
この靭帯は、内側上顆から肘頭突起まで伸びており、上腕骨と尺側手根屈筋をつなぐ筋膜と連続しています。
患者によっては、この天井が滑車上肘筋に置き換わっていることがあり、これが神経の圧迫の副原因と考えられます。
トンネル底部は内側側副靭帯(MCL)と肘関節包で構成され、内側上顆と肘頭骨が両側の壁として機能しています。
肘関節屈曲135°で尺骨神経がこのトンネル内でOsborne靭帯とMCLの間で圧迫され、トンネルの高さ、面積、矢状湾曲が減少するそうです。

尺骨神経は内側上顆の後方を通過した後、尺骨神経圧迫の原因となりやすいなりやすい尺側手根屈筋(FCU)の間から前腕に入ります。
その後、FCUの深部と深指屈筋(FDP)の表層に留まります。
前腕遠位部では、尺骨神経はFCUの外側、尺骨動脈の内側に移動し、Guyon管を通過して手掌に入ります。




Andrews K, Rowland A, Pranjal A, Ebraheim N. Cubital tunnel syndrome: Anatomy, clinical presentation, and management. J Orthop. 2018 Aug 16;15(3):832-836. doi: 10.1016/j.jor.2018.08.010. Erratum in: J Orthop. 2020 Dec 14;23:275. doi: 10.1016/j.jor.2020.12.003. PMID: 30140129; PMCID: PMC6104141.


肘部管症候群はあまり臨床ではみない印象ですがいかがでしょうか。
病院によっては手術後の方などが対象となっているかもしれません。
神経の通りや臨床症状などまとめておきましょう。
次回は症状や治療についてです。

ではでは。

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