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Yergason’s Test:上腕二頭筋腱病変、関節唇損傷

今回はYergason’s Testです。上腕二頭筋腱病変は、よく結節間溝に疼痛を生じます!触診などの基本的な技術も身につけておく必要があります。


結果からなにが考えられるのか?

上腕二頭筋長頭腱病変、肩関節唇損傷の有無の特定

Speed's Testもそうですが、上腕二頭筋長頭腱病変と関節唇損傷の特定はセットなんですかね。

検査方法

1患者は立位または座位。
2上肢下垂位、肘関節90°、前腕回内位。
3検査者は手首を把持、回内方向へ抵抗を加える。
4患者は抵抗に抗して回外方向へ力を加える

上腕二頭筋の前腕回外の作用を利用したテストです。手背あたりを把持してしまうと代償的な筋活動が出現することも予想されますので、手首をしっかり把持しましょう。

陽性時の所見

結節間溝に限局した疼痛の誘発

注意点

・検査前にポパイサインの確認を行う。
・肘関節を固定し、肩関節に対し余計な力が入らないようにする。

ポパイサインはSpeed's Testの記事に少し記載してあります。

評価の精度

上腕二頭筋腱病変
感度41%
特異度79%
陽性尤度比1.94
陰性尤度比0.74

インピンジメント症候群
感度37%
特異度86%
陽性尤度比2.64
陰性尤度比0.73

関節唇損傷
前方
感度50%
特異度86%
陽性尤度比3.57
陰性尤度比0.58

SLAP損傷
感度13%
特異度94%
陽性尤度比1.92
陰性尤度比0.94

診断精度に関してはこちら

様々な病変や損傷などの特定に使用できそうですね。全体としては特異度が高いため、確定診断になりますでしょうか。

関連する文献

Yergason’s Testに関連した文献を探してみました。

Eric J Hegedus, et al. Which physical examination tests provide clinicians with the most value when examining the shoulder? Update of a systematic review with meta-analysis of individual tests. Br J Sports Med. 2012 Nov;46(14):964-78.doi: 10.1136/bjsports-2012-091066.Epub 2012 Jul 7.

「肩を診察する際、臨床医に最も価値をもたらす身体診察テストはどれか?個々の検査のメタアナリシスによるシステマティック・レビューの更新。」という論文です。
整形外科的テストの中で、どのテストが信頼性が高いかのレビューです。今回のYergason’s Testは、SLAP損傷の判別テストで最も特異度が高いテストとして挙げられています。この論文読んで感じたことは、整形外科的テストの感度と特異度などを覚えるのはかなり大変であることと、世の中いろんなテストが多すぎるなということです。
誰か、万能なテスト開発してくれませんか…

ではでは。

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