見出し画像

Lift Off Test:肩甲下筋損傷の有無

今回はLift Off Testです。腱板を構成する筋肉の一つ、肩甲下筋に関するテストです。


結果からなにが考えられるのか?

肩甲下筋損傷、上腕二頭筋長頭腱病変の有無

松村 将司, 三木 貴弘. 適切な判断を導くための整形外科徒手検査法.メジカルビュー

肩甲下筋の損傷を判別できるものです。腱板を構成する筋肉の一つですので、判別できるれば、臨床にも応用できそうですね!

検査方法

1患者は立位または座位。
2検査側上肢を手掌が後ろを向くように腰背部へ
3患者は腰背部から手を後方へ離す

松村 将司, 三木 貴弘. 適切な判断を導くための整形外科徒手検査法.メジカルビュー

肩甲下筋の収縮を促すことで、その損傷の有無をみていますね。上腕二頭筋長頭腱は、伸長痛をみていそうです。

陽性時の所見

手を後方へ離すことができない

松村 将司, 三木 貴弘. 適切な判断を導くための整形外科徒手検査法.メジカルビュー

痛みではなく、離すことができるかできないかで判断します。

注意点

疼痛や可動域制限から後方へ離すことができない場合がある。

松村 将司, 三木 貴弘. 適切な判断を導くための整形外科徒手検査法.メジカルビュー

筋収縮が入らない以外の理由で、離すことができない場合があるということですね。
臨床では、肩関節の内旋ではなく、肘関節の伸展で話そうとする方も多いので、適切な指示などが必要となります。

評価の精度

評価の精度
肩甲下筋損傷
感度12-100%
特異度79-100%
陽性尤度比1.90-17.50
陰性尤度比0.66-0.76

上腕二頭筋長頭腱病変
感度28%
特異度89-90%
陽性尤度比2.61-2.80
陰性尤度比0.80-0.90

松村 将司, 三木 貴弘. 適切な判断を導くための整形外科徒手検査法.メジカルビュー

診断精度に関してはこちら

肩甲下筋に対しては、感度、特異度ともに高い印象ですが、報告によって差が大きそうです。
上腕二頭筋腱に対しては特異度が高いので、確定診断となりそうです

関連する文献

Lift Off Testに関連した文献を探してみました。

Jong Pil Yoon, et al.Diagnostic value of four clinical tests for the evaluation of subscapularis integrity. J Shoulder Elbow Surg. 2013 Sep;22(9):1186-92. doi: 10.1016/j.jse.2012.12.002. Epub 2013 Feb 20.

「肩甲下筋の完全性を評価するための4つの臨床検査の診断的価値」という論文です。Abstractのみ読みました。肩甲下筋に対する診断テストの代表的な4つのテスト(lift-off test、internal rotation lag sign、belly-press test、bear-hug tests)を、筋力の低下や、脂肪変性の重症度を判定できるのかを調べております。
結果としては、lift off testが肩甲下筋の全層断裂の検出に非常に優れており、重度の脂肪変性や筋力低下も反映しておりました。lift off testを臨床に応用してすることは、肩甲下筋に何らかの異常を生じている場合に、有用な検査ですね。

ではでは。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?