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Drop Arm Test:腱板損傷の有無

今回はDrop Arm Testです。比較的よく聞く名前かと思います。翻訳すると腕を落とすようなテストと想像できそうです。どんなテストでしょうか?


結果からなにが考えられるのか?

腱板損傷、インピンジメント症候群の有無

松村 将司, 三木 貴弘. 適切な判断を導くための整形外科徒手検査法.メジカルビュー

腱板損傷やそれに伴いやすいインピンジメント症候群の識別です。肩の安定性などが必要になります!

検査方法

1患者は立位または座位。
2検査者が他動的に肩関節外転90°へ
3患者にゆっくりと腕を下すよう指示する

松村 将司, 三木 貴弘. 適切な判断を導くための整形外科徒手検査法.メジカルビュー

外転動作を他動的に行い、制動しながら降ろさせるイメージです。外転なので棘上筋の検査がメインとなりそうです。

陽性時の所見

ゆっくり下すことができない

松村 将司, 三木 貴弘. 適切な判断を導くための整形外科徒手検査法.メジカルビュー

遠心性の収縮を促しつつ、制動できているかがポイントですね。

注意点

肩関節の疼痛も聴取する。

松村 将司, 三木 貴弘. 適切な判断を導くための整形外科徒手検査法.メジカルビュー

疼痛があるとどう判断できるのかは不明ですが、腱板の損傷であれば疼痛は出てきそうです。断裂では、その動作自体に大きく影響が出そうです。

評価の精度

感度8-71%
特異度66-100%
陽性尤度比2.15-5.00
陰性尤度比0.39-0.94

松村 将司, 三木 貴弘. 適切な判断を導くための整形外科徒手検査法.メジカルビュー

診断精度に関してはこちら

特異度が高いですね。確定診断として有用性が高そうです。

関連する文献

Drop Arm Testに関連した文献を探してみました。

Ludo I. F. P ennIng, et al. Empty can and drop arm tests for cuff rupture :Improved specificity after subacromial injection. Acta Orthop. Belg., 2016, 82, 166-173

「腱板断裂のEmpty can testとdrop arm test:肩峰下注射後の特異性の向上」という論文です。
肩峰下インピンジメントと腱板断裂を区別するのが難しいが、それらを区別することは重要です。今回は肩峰下に麻酔薬を打つことで、Empty can testとdrop arm testの腱板断裂を判断する診断精度が向上するという仮説の検討です。
結果としては、特異度は上がり、感度は変化ありませんでした。検査を組み合わせることで感度、特異度の上昇を認めたそうです。確かに、腱板の損傷なのか、インピンジメントなのかの判断は難しいですね。注射と組み合わせるという発想は、面白いなと感じました。

ではでは。

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