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腰椎分離症

腰椎分離症は発育期に生じる腰椎の骨折です。成長に伴い偽関節となっていきます。どのような病態でしょうか。まとめてみます。


参考引用

成田崇矢編集. 脊柱理学療法マネジメント機能障害の原因を探るための臨床思考を紐解く. メジカルビュー社, 2019.

腰椎分離症とは

発育期に腰椎椎弓の関節突起間部(pars部)に起こる疲労骨折とされます。
成人の場合はこの発育期の疲労骨折が治癒せず、偽関節に陥っている状態を指します。

腰椎分離症の原因として
・胎児や新生児には認めない
・出生時から歩行したことのない人には認めない
・体幹運動の多いスポーツ選手や体幹の不随意運助が繰り返されるアテトーゼ患者では発生率が高い
・長管骨の疲労骨折とよく似た画像経過をたどる
などの観点から、主因は疲労骨折ではないかとされています。

疲労を蓄積させる(負荷の大きい)腰椎の運動は腰椎伸展・回旋時が最も蓄積するとされます。特に、回旋方向と反対側のpars部に応力が集中するそうです。


進行程度により病期は3段階に分けられます。腰椎pars部の疲労骨折から始まり

分離初期
分離進行期
分離終末期

の3つの病期を経て腰椎分離症に至ります。

分離初期

pars部に骨吸収像がhair line状にみられる時期です。
基本的に
・スポーツ競技の中止
・硬性体幹装具の装着
で骨癒合を目指します。

分離進行期

明らかな骨性Gapが見られる時期です。
骨癒合を目指す場合は初期と同様の保存療法となります。
発育期では今後の予後を十分に説明し、患者本人や保護者と十分に相談し治療方針を決定する必要があります。

分離終末期

偽関節となる段階です。
保存療法による骨癒合は期待できません。
疼痛管理が主体となります。装具にて局所安静、必要に応じて鎮痛剤の内服や分離部ブロックを行います。
疼痛が強く保存療法でも改善が得られない場合は手術療法の適応となります。

痛み

「初期」から「進行期」にかけての痛みは疲労骨折そのものの痛みとなります。
圧痛点がはっきりしていることも多いが、骨折部の出血や浮腫が周囲の軟部組織に及ぶと神経根性疼痛や背部の筋性疼痛を呈することがあります。
腰椎伸展・屈曲時にも疼痛がみられます。
「終末期」では偽関節になるため、分離部周囲に発生する滑膜炎が疼痛の原因となるとされます。炎症が頭尾側の隣接椎間にも波及することで、椎間関節に負荷のかかる腰椎伸展位での疼痛が強くなります。


偽関節となった分離症診断の患者さんは時折担当いたしますが、確かに幼少期にバレーなど体幹の回旋を伴うことが多いスポーツをされている印象です。疼痛に合わせてですが、体幹のトレーニングなども必要でしょうか。

ではでは。

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