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「創造」と人間

NOSIGNER 太刀川英輔さんの「進化思考――生き残るコンセプトをつくる「変異と適応」(海士の風)」を読みました。非常に面白い本でした。
私はこの本に「仏教」を非常に感じました。太刀川英輔さん自身が尊敬するデザイナーに空海を挙げていらっしゃったので、少なからず影響があるのでしょうか…

さてこの記事では、「創造性=人間らしさ」という式を検証していきたいと思います。「創造」というのは、人間らしさの重要な要素だと私は考えるからです。ただ私は、これをやめる生き方を推奨しています。

現代において「創造性」とは、非常にポジティブな印象をもちますし、「創造力」のある人は、なにやらすごい人のように感じます。確かにずば抜けた創造力をもつ人は、様々な賞が与えられ、偉人と呼ばれ、歴史にその名を残すでしょう。

昨今は「創造こそ未来を豊かにする力だ!」などとと世界共通の認識を持ち、直面する環境問題に創造力で対抗しようとしています。サスティナビリティ、SDGsと言ったワードも人口に膾炙し、私たちの住む地球の未来をより良いものに変えていくためには、今後も「創造性・創造力」が必要とされることでしょう。

”でも、そもそも環境問題は人間が創造するから起こった問題なわけですし、バイオマスプラや生分解性プラとか作るんだったら「何も作らない」ことが1番環境に良いのでは?”

”もし人間が植物のように、他の生態系に大きく影響を与えることもなく、創造し過ぎない存在であったならば、もっと持続可能な地球環境だったのでは?”

人間とそれ以外の生物の違いを考えると、この創造にあるような気さえします。私たち人間はより良い生活を手に入れるために(より良い人生にするために)、創造に創造を重ね、未来を切り拓いてきました。この「より良い」状態を求めることは、人間の根源的欲求であり、それを手に入れるには創造せざるを得ないのです。結果的に生物の絶滅スピードは加速し、重大な環境問題も人間の手によって”創造”されました。

そう、創造こそが前項で記述した「人間らしさ」であり、人間を人間たらしめる、本能に根ざした行為です。人間らしい生き方とは、創造に生きるということです。

私はデザイナーでありながら、これをやめようと思いました。創造にしゃかりきになっている世間をよそに、創造をやめてやろうと思い至ったのです。創造さえなければ、環境問題は起きなかった。創造さえなければ、他の生態系を脅かすこともなかった。創造さえなければ…あらゆる問題、苦は生じないのではないだろうか。

次の記事では、「創造」とはなにか、少し詳しく記述していきたいと思います。

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