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僕はおまえが、すきゾ!(8)

僕と優作は、テレビの前に座し、ミュージカル映画『ラ・ラ・ランド』を観ていた。

映画『ラ・ラ・ランド』の宣伝文句には、この映画は一番大切な人と観て下さい、と評していた。優作は僕を一番大切な人だって思ってくれてる証拠なのか?

すると、優作が画面を観ながら、言った。

「古賀さんと一緒に観たかったな……」

僕はその時、優作の顔を見る事が出来なかった。何故、あの時、僕は優作の顔をまともに見れなかったんだろう。

映画のラストシーンまで観終わると、優作は

「ありがとな」と一言だけ言った。

何がありがとうなんだ?どうして僕に礼など言うのか。

「今度、これ古賀さんと観るよ」

優作が僕の目を見て、真っ直ぐに言った。

僕は古賀朝子が考えている事を、優作に言いたかった。優作と彼女じゃ、価値観が違うのだと、古賀朝子などより、高校時代から共に過ごしてきた、僕と一緒にいつ迄も遊んでいた方が楽しいぞ、と言いたかった。

だけど、優作のその言葉と眼差しは、僕のそんな考えを只の我儘としてしか、映らないのかも知れないと、僕に思わせた。

優作とは、映画を通じて知り合った仲だった。

優作はどんな映画が好きで、どんな映画に惹かれるのか、全てわかっていたような気がしいてた。

「彼女の事、どう思う?」

優作はわざと表情を崩さず、テレビ画面のエンドロールを見つめながら、僕にそう言った。

僕は何も言えなかった。そして何と言えばいいのかも分からなかった。

僕は優作の一言で、優作を彼女に取られたような気持ちでいた。そんな事、分ってた。分かり切っていた事だった。

優作は、今僕では無く、親友ではなく、親友以上の存在を古賀朝子に求めているんだ。今の僕には多分、優作の為にしてあげられる事など、何一つ無いのかも知れない。

長いエンドロールを観ながら、僕はそう思った。

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