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自分を信頼する力
自己評価が低い人が多いよね、というような話をしていました。
自己評価という言葉は、自らが生み出した成果物を評価するといった文脈で使われることもあれば、自己肯定感といったニュアンスで使われることもあります。
今回の場合は後者のほうで、「どうせ私なんて」というように自虐的な態度を取る人が増えてきたような気がしています。
自己肯定感の歴史は意外と浅い
自己肯定感という言葉の出自は意外と新しく、1994年に臨床心理学者である高垣忠一郎によって提唱されたものです。
自身の子どもを対象にしたカウンセリングの体験から、没個性化(不登校・無気力・自殺などの根底にある、自己・個・人格・生きる意欲の喪失化)が生じていた子どもの状態を説明する用語として「自己肯定感」が用いられました。
高垣は自己肯定感について『「他人と共にありながら自分は自分であって大丈夫だ」という、他者に対する信頼と自分に対する信頼』のように定義しています。
自己肯定感を育むためには、他者を信頼すること、自分を信頼することの2点が重要であるようです。
他者を信頼すること
他者に対する信頼とは、自分が相手に期待した通りの結果が帰ってくることを信じられることです。
社会心理学者の山岸俊男は、著書『信頼の構造』のなかで、「相手が自分を搾取しようとする意図をもっていないという期待」のうち、「相手の人格や相手が自分に対してもつ感情についての評価」にもとづく期待を「信頼」と定義しています。
対して、相手自身にとっての不利益になるから自分を搾取しないだろうという期待、すなわち「相手の自己利益の評価」にもとづく期待は「安心」だとしています。
過去に公開した「信頼される働きかた」という記事のなかで、仕事における信頼関係について下記のように書きました。
結果を出せば信頼されるという単純な話ではなく、仕事を通じてコミュニケーションを取っていく過程で、徐々に信頼関係が培われていく、そういうものだと考えています。
前述の定義に照らし合わせて考えると、結果に対する期待はどちらかというと安心のほうで、信頼は感情的な評価であるようです。
信頼が感情的な評価であるなら、コミュニケーションの質が重要です。それ以前に、生理的に好きか嫌いかといった要素も、意外と信頼関係に影響を与えているのかもしれません。
感情は移ろうものなので、他者との信頼関係を良質に保つためには、自分の感情を平穏に整え続けることが重要です。
自分を信頼すること
自分を信頼できる状態とは、文字通り自信があるということです。
自信があると、新しい挑戦に積極的に取り組むことができます。自信が欠けていると、失敗を恐れ可能性を最大限に活かすことが難しくなります。
自信は生まれつき持っているものではなく、日々の経験を通じて培われるものです。社会経験を蓄積しながら、そこから得られた知識や教訓を建設的に活用する必要があります。
自分がうまく物事を進めることができたという、成功体験の積み重ねによって自信が定着していきます。
ただし、成功体験がすべて自信に繋がるとは限りません。
社会的に成功した人たちのなかには、自分の成功は単なる幸運やタイミングのおかげか、実際よりも能力があると他人を欺いて手に入れたものだと考えるインポスター症候群に陥る人もいるようです。
インポスター症候群(インポスターしょうこうぐん、英: Impostor syndrome、インポスター・シンドローム)は、自分の達成を内面的に肯定できず、自分は詐欺師であると感じる傾向であり、一般的には、社会的に成功した人たちの中に多く見られる。ペテン師症候群(ペテンししょうこうぐん)、もしくはインポスター体験(インポスターたいけん、impostor experience)、詐欺師症候群(さぎししょうこうぐん、fraud syndrome)とも呼ばれる。
おそらく、自分自身で選択して手に入れた成功かどうかによって、自信に繋がるか否かが分かれるのではないでしょうか。
自分が選んだ成功だけが自信に繋がる
そもそも、成功の定義は人それぞれです。
例えば昇進だったりブレイクだったり、世間的に成功とされている状況も、自分が望んだものでなければ、自信には繋がらないでしょう。
担がれた神輿に乗っている人は、たとえ世間的に成功してるように見えたとしても、インポスター症候群を患っているかもしれません。
自分を信頼する力を養うためには、自分にとって何が成功なのかを考え、自らが選んだ道で経験を重ねていくことが必要です。
フォロワー数や報酬など、相対的な評価が自分にとっての成功とは限りません。他者とは比較ができないところに、内なる成功が隠れていることだってあるでしょう。
自分で選んだ道を進んでこそ、本当の成功と自信に繋がるのです。
では。
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