自分を飽きさせないために
前回の投稿の最後に、メンタルが弱った状態から回復する力(レジリエンス)を構成する個人内要因として、次の3因子を紹介しました。
その中から今回は「新奇性追求」について、私なりの見解を書いてみます。
仕事に慣れると感性が鈍る
「新奇性」とは、目新しさ・物珍しさのことです。新奇性を追求する姿勢を維持することは、仕事を長く続けていくうえで重要な要素のひとつです。
誰しも新人の頃は、初めてのことや分からないことのほうが多いので、あらゆることに興味・関心をもって、意欲的に仕事と向かい合うことができていたのではないでしょうか。
ところが、仕事に慣れて知識やノウハウが身に付いてくると、色々なことが分かったように思えてきて、次第に新奇性を追求する意欲が衰えます。そして数年が経過した頃、既存のスキルセットでこなせる仕事を選り好みするようになると、そこで成長がストップしてしまいます。
ある刺激を繰り返し受けることによって、その刺激に対して徐々に反応が鈍くなる現象を馴化と呼びます。ずっと同じ環境で仕事をしていると、人はだんだんと馴化して鈍感になっていきます。
モチベーションが高い状態をキープして、継続的に成長していくためには、意識的に馴化に抗う必要があります。
環境を変えて目新しさを維持する
私は判で押したような生活が苦手です。毎日同じことの繰り返し…といった生き方は性に合わないため、複数の仕事を掛け持ちする複業という働き方が理想的です。以前も書いたように、現在は4つの職場に籍を置いています。
日々異なる職場環境に身を置くと、業務内容や人付き合いが固定化されることがないので、常に目新しさが保たれて、飽きずに仕事を続けることができます。定期的に環境を変えることは、どうやら馴化を緩やかにする効果があるようです。
複業という選択肢を取るのが難しい場合は、コワーキングスペースなどを利用して、いつもと違う場所で仕事をしてみるだけでも違うかもしれません。
あえて予測不能な状況に身を置く
また、イレギュラーな体験も目新しさのひとつなので、私は馴化に抗うために、何が起きるか分からないという状況に、あえて身を投じるようにしています。
具体的には、下記のような状況です。
知人が一人も居ない集まりに参加する
会ったことがない人に会う
使ったことがない技術を使う
展開が読めない状況は程よい緊張感があり、仕事を続けていくうえでの良い刺激になります。また、知らないことが多い状況であるがゆえに、おのずと新奇性追求欲も高まります。
いきなり知らない人と対話をする勇気がないという方は、入ったことがない飲食店に一人で行ってみる、ぐらいから始めてみると良いのではないでしょうか。
仕事は飽きてからが本番
本来人間は飽きやすい生き物で、同じことを延々と繰り返すことは得意ではないのかもしれません。ですが、自分のキャリアを振り返ってみると、飽きるぐらい繰り返してきたからこそ、その道の専門家として頼りにされるようになったと思えてなりません。
よく「商い=飽きない」などと言いますが、プロフェッショナルへの道のりは、飽きてからが本当の勝負なのかもしれません。
多くの人は、飽きるまで続けることができずに脱落していきます。飽きてきたということは、言い方を変えれば熟練してきたということで、それは次のステップへ進むための合図なのではないでしょうか。
そこから更に成長できるか否かは、意識して新奇性追求欲を保つことができるかどうかに掛かっているような気がします。幸い私はまだ仕事への興味・関心が枯渇していないので、もう少し走り続けることができそうです。
では。
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