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企業は女性活躍推進からインクルージョンへ

JUAS(一般社団法人 日本情報システム・ユーザー協会)には会員企業の従業員が参加する研究会がある。様々なテーマで活動されているが、そのなかに「ダイバーシティ&インクルージョン研究会」がある。今回その主催者会議に参加してきた。

情報システムにおいて、わたしは提供側だったが、ユーザ側との共通言語もあり、親和性が高い。と、勝手に思っている。

そんなJUASのD&I研究会からお招きいただき、今年度の方向性などをうかがった。

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ダイバーシティ&インクルージョンを企業人が研究するからといって、経営視点とは限らない。一人ひとりの自立をテーマに研究することもある。ただ、経験的にはその視点で考えるひとは少ないように思う。

1992年育児介護休業法、2003年に次世代育成支援対策推進法が制定された。

育休が出来たとき、組合から説明を受けたことを記憶している。これで出産しても辞めずに続けられるのだと、同期で喜んだことを覚えている。

その後も何度か改正され、関連する法律ができたことで、女性を取り巻く環境は少しずつだが変化してきた。女性活用(女性の労働力を活かすこと)も盛んになり、いきいき働く女性を増やそうとする企業では担当部門をつくり始めた。特に、女性従業員の多い保険業界やサービス業では、女性の働きやすさを伸ばすことが企業の人的資産を最大限に活かすことでもあり、経営価値に直結すると考えられていた。

この動きは2003年以降、女性比率の低い企業にも取り入れられ、市場開拓や営業戦略として語られることが増えてきた。リーマンショック、震災を経て、意思決定層における女性を増やすことの必要性が高まり、女性活用は女性活躍推進に変化した。さらには、IMFラガルド専務理事の指摘を受け、女性活躍推進は日本経済の成長戦略に据え置かれることとなった。

ダイバーシティ経営は女性活躍推進とともに成長してきた。東洋経済新聞社のダイバーシティ経営大賞など、経営戦略として取り入れる企業の表彰や、実践事例の調査研究も広がりを見せた。女性の活躍を含めて、違いをちからにすることで、イノベーションや経営改革が期待された。

現在、小池百合子東京都知事は東京都をダイバーシティにする(都市=シティを掛けている)計画や、オリンピック・パラリンピックおよび入管法改正などによるグローバル化加速への対応など、生活圏にダイバーシティが入ってきている。違いのあるひとが同じ生活圏で暮らすだけでは問題が起きることが自明であり、ダイバーシティだけでなく、インクルージョンが必要であると語られるようになった。

数十年前から男女平等を推進してこられた諸先輩がたにしたら、男女平等を実現するのが先だと思われるかもしれない。同感するところもある。しかし、時代の変化とともに、大勢を巻き込む力のある言葉は変わっていく。

ダイバーシティという言葉が、利益の源泉やイノベーションの因子として経営で期待されたように、インクルージョンという言葉は生活者に男女平等を含む人権尊重をもたらすように思う。

これまでおぼろげだったこの仮説が、今日の研究会打合せで確信へと変わった気がする。

女性活躍推進は、ダイバーシティ経営を通らずに、インクルージョン社会へと流れ始めている。嘆くことではない。喜ぶべきことである。

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