見出し画像

「神保町ブックフェスティバル」の代わりに小規模のフリマが行われる件

▼1カ月以上前、なじみの神保町の古書店主から「今年は神田古本まつりは中止です」と聞かされ、「神保町ブックフェスティバルも中止です」と追い打ちをかけられ、ガッカリしていた。

▼しかし、神保町ブックフェスティバルのほうは、皆無ではなさそうだ。白水社が声をあげた。

「新文化」の2020年10月19日配信の記事から。

〈白水社が2日間にわたる「神保町ブックフリマ」の出展社を募っている。「神保町ブックフェスティバル」や「神田古本まつり」の中止を受け、同社営業部が企画。ツイッター公式アカウントで発信している。

場所は参加する出版社の社屋前や社内。出品する本は新刊、既刊書、汚損本などで、販売価格も自由に設定できる自由裁量のイベント。現在、本の雑誌社など数社が参加表明している。オリジナルポスターも制作して来場を呼びかけている。〉

▼以前も書いたと思うが、おさらいしておくと、神田古本まつりは、古本屋さんのお祭り。1週間ほど。靖国通りにズラリと本の出店(でみせ)が並ぶ、あの壮観な光景だ。

いっぽうの神保町ブックフェスティバルは、出版社のおまつり。2日間。こちらの特長は、多くの出版社の「ほぼ新品」の本が、半額前後で買える、という点にある。

筆者は神保町ブックフェスティバルのほうが好きだ。時間帯によっては信じがたい安値になるので、行ける年は顔を出してきた。

▼白水社は、毎年の神保町ブックフェスティバルで良心的な品揃えである。

「三密」どころかライバル客と「密着」状態になることでおなじみの国書刊行会や、早川書房、東京創元社などと比べると地味だし、京極夏彦氏が売り子になったりすることもないが、店員の対応がよい。ティリッヒやアラン、オルテガやベルグソンの全集が激安で並んだ時には目を疑ったものだ。これらの全集は、セット販売しかしていなかったので、バラで買える機会は稀少(きしょう)であり、しかも1冊あたりの値段がとても安くなる。

神保町ブックフェスティバルでは、なかには質の悪い店員の店もあって、たとえば慶應大学出版会は、ここ数年、販売開始時刻をフライングして売り始める不届きな売り子が立っており、ほしいと思っていた本について尋ねると、「その本は午後も入らない」と言われたが、その本がしっかり午後に棚に並んでいたこともあり、基本的にやる気がない。「入るかどうかわからない」と言っておけばいいものを。対応は店によって千差万別である。

▼こうした些事(さじ)を書く楽しみ自体が、2020年は奪われてしまった。コロナ感染の影響で、すずらん通りにあった餃子の名店「スヰートポーヅ」が閉店してしまったり、さびしいニュースが続いたが、上記のブックフリマの動きが広がれば広がるほど、ささやかな楽しみが広がる。

▼どの出版社が参加するか、noteにアップしている人がいる。ご参考に。

(2020年10月20日)

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?