被災地の復興

▼〈今村氏更迭/問われる復興政策/安倍政権下 担当、全員初入閣〉(毎日新聞2017年4月27日付)

〈安倍晋三首相は26日、今村雅弘前復興相の辞任を受け、「復興は道半ばで、一日たりとも停滞は許されない」と記者団に語った。しかし、第2次安倍内閣発足後、今村氏より前に辞任した4閣僚が「政治とカネ」などを問題視されたのに対し、今村氏は担当する復興政策そのものへの認識不足を露呈した点でより深刻だ。安倍政権が復興相ポストを軽視していると受け取られても仕方がない。〉(朝日弘行記者)

※今村復興大臣の失言連発と更迭について、この記事の視点を真正面に据えたマスメディアは少なかったように思う。いわれてみれば当然の指摘なのだが、筆者はこの記事を読んで気づかされた。

たしかに、これまでの4閣僚が辞任した理由は、閣僚として担当する仕事と直接関係はなかった。しかし、今回辞任した今村氏は「復興大臣」だった。復興大臣とは、2011年3月11日に起きた東日本大震災の被災地を、国家として復興に導く司令塔である。その復興大臣が、東日本大震災が起きた場所が首都圏ではなく「東北でよかった」と発言して更迭されたわけだ。これは2度目の暴言で、1度目は、東京電力福島第1原子力発電所の事故で、自主避難をした人が帰還するかどうか判断は「本人の責任」と言った。今村氏の場合は、大臣職を辞める理由の深刻さの次元が違う。

〈最初の暴言のときに辞めさせていたら、東北の人々を2度も悲しませることはなかったはずだ。〉(岩手日報4月27日付論説)
〈日本は首都圏だけで成り立っているのか。〉(福島民報4月26日付論説)
〈反省があれば自らを律することはできる。しかしこれまでの発言を含めて察するに、反省どころか自覚さえなかったのではないか。〉(福島民友4月27日付社説)
〈被災地を愚弄(ぐろう)し、さげすむ。そうした思考がもともとあったとしか言いようがない。あきれるばかりだ。〉(河北新報4月27日付社説)

今村氏の後任である吉野正芳氏も、今回が初入閣だ。この世の中には、失言をした大臣が財務大臣や外務大臣、経産大臣、官房長官などの「重要閣僚」でなく、「復興相でよかった」と思っている人がいるかもしれない。

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