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Official髭男dismとKingGnuが好きすぎるので、歌詞を徹底分析して魅力をぶちまけたい。きいてください。

家にいると音楽聞きたくなるよね?ね?

2019年以降大爆発している人気バンドと言えば、「Official髭男dism」と「KingGnu」ですよね。Youtubeを開くと、サジェストが2つのバンドやカバーばかりになっちゃうのは僕だけじゃない・・・ハズ。

この2つのバンドは毛色が随分違いますが、どちらも普通のポップスにくくることができない不思議な魅力を醸し出しています。

音楽理論、旋律、リズムやコード理論など、高度な音楽的分析ってのはいろんなところで行われていますが、意外にも「歌詞」についてしっかり分析しているヒトが少ないようなので、今回はそこに注目して攻めてみたいと思います。

Official髭男dismの楽曲:40曲と、KingGnuの楽曲:26曲(お互いリリースされている曲のほとんど)から歌詞を全て抜き出し、テキスト分析にかけたうえで、彼らの世界観をセキララに解析していきたいと思います。

2つのバンドや楽曲を知らない方の為に、Youtube動画を貼っています。どんな歌詞についての話か、実際に楽曲を確かめながら、一緒に深堀りしていきましょう。

どちらかのバンドを好きな方はぜひ、ご意見をお聞かせください!
それでは早速行ってみましょう。


■Official髭男dismとは

知らない方の為に一応軽く説明を。Official髭男dismは、圧倒的に有名な楽曲「Pretender」を引っ提げて、2019年に大ブレイクしたバンド。この楽曲は映画「コンフィデンスマンJP」の主題歌として使われ、今では約2億回もの再生回数を誇る超有名曲となり、紅白歌合戦にもこの曲で初登場となりました。

作詞作曲ボーカルの藤原聡さんが行っています。今回は歌詞からOfficial髭男dismの世界観の真相に迫っていきます。


■ヒゲダン藤原の分析に欠かせない「時間」について

ヒゲダンの曲には「今」「未来」という単語が頻繁に出てきます。

「未来」は「過去」の4倍、「今」は「過去」の6倍頻出の単語です。

藤原さんには、明らかに今と未来に関する強い思いがあります。そして、彼はその思いを楽曲に表すのが非常に得意です。ヒゲダンの曲の特徴的なサビの圧倒的盛り上がりを作るのは「時間」の概念です。

さぁ、藤原さんの時間の価値観について読み解いていきましょう。


■ヒゲダン藤原にとっての「未来」とは

彼にとっての未来は、儚いものです。

彼の内面に一番近づくためには「今」を知ることが重要なのですが、それにはまず「未来」を知ることがどうしても必要なので、サラッと流してもらえると、より楽しめるかと思います。

では、彼の「未来」感について考えていきましょう。

宿命:自分の弱さに遠ざかってく未来
Pretender:
繋いだ手の向こうにエンドライン
引き伸ばすたびに 疼きだす未来には
君はいない
ゼロのままでいられたら:
一体 何年先の未来までこうやって
会えない日を数えなきゃいけないのだろう?

これらに代表されるように、彼の「未来」像はとても儚いものです。乗り越えなくては届かない。未来には君はいない。届かない恋を謡っています。

彼の「未来感」は決して順風満帆ではなく、どこか叶わない未来を内包しているような表現に美しさを感じてしまいます。

そんな未来を想像する彼は、いったいどんな「今」を描いているのでしょうか?


■藤原さんにとって、「今」が一番大切な概念

彼にとっての「今」決心のタイミングです。

イエスタデイ:
バイバイイエスタデイ ごめんね 名残惜しいけど行くよ
いつかの憧れと違う僕でも
ただ1人だけ 君だけ 守るための強さを 何よりも望んでいた
この手に

イエスタデイのギターソロの後、落ちサビ。

「今」のタイミングでドラム・ストリングス・ピアノが一斉に鳴り響き、エネルギーが最高潮に達したところで、最後のサビブロックへと進行していきます。

”いつかの憧れ”という未来は手に入らなかったようです。それでも、何よりも望んでいた強さを、この手にするのは「今」なのです。

宿命:
そんなものに負けてたまるかと
今 宿命ってやつを燃やして 暴れ出す
届け!

イエスタデイと同じく、印象的なブラスと最高のギターのあと。落ちサビでプレッシャーが僕らを支配したとき、「今!」と言葉を紡ぎます。

この後に続く歌詞も、「美しくなくていい、生きがいってやつが光り輝くから、宿命ってやつを燃やして暴れだすだけなんだ。」という内容です。

この曲は熱闘甲子園のテーマであり、藤原さんは高校野球を大きな乗り越えるべき壁としてとらえて、この曲を書いているハズです。ただし、この歌詞から想像される選手像は、「今、過去の努力を全力で表現し、魂の限り戦い尽くす」選手であって、「必ず勝つ選手ではない」んですよ。

このことからも、彼の想像する「未来」はどこか儚げで、届かない思いを、届かないと知っていて、それでもあえて「届け!」と言っているような雰囲気を感じませんか?Pretenderで「グッバイ」を告げた相手のように、届かない「未来」それこそが「美」だと言われているように感じるのです。

でもだからこそ、「今」最高のエネルギーを携えた最高のシーンになる。そう思います。(異論は認める)

他にも、115万キロのフィルムでも、「今」を曲の後半に場面をスイッチするために使われるパワーワードとして使われているのでぜひ確認してみてください。


未来過去は藤原さんにとって嬉しくて楽しいモノではありません。

「未来」には君はいないし、「未来」には届きません。

だからこそ「今」が美しく感じるのです。

必ずしも楽しいものではない「未来」を描く藤原さんにとって、未来は大きなプレッシャーを与えてくる強大な敵なのではないでしょうか。巨敵を倒すためのエネルギーを蓄えて、大爆発させる瞬間。それが「今」なのです。


■Official髭男dismが目指す美しさとはなにか。

彼らは決して届かない「未来」を見据えて、「今」を全力でもがくその姿が、この世界で最も美しいものだと考えているのではないでしょうか。

「時間」をカギに考えると、彼らの楽曲の作り方がかなり見えてくるので、曲の魅力を倍にして楽しむ方法としてとてもオススメです。


■KingGnuとは

Official髭男ismと同じく2019年に紅白歌合戦に参戦した大ブレイクバンド、KingGnu。東京藝術大学音楽学出身が2人いるということで注目されがちですが、真に注目すべきはそのサウンド。ミクスチャーとひとくくりにするにはあまりにも複雑な、それでいて一般大衆にも受け入れられる不思議なバランス感の特殊な魅力をもったバンドです。

作詞作曲は、ギターボーカル、チェロの常田大希。


■Official髭男ismと違い、「時間」に重きを置いていない

KingGnuの歌詞についても、現在リリースされているほとんどの曲の歌詞を手に入れて、テキスト分析した結果、過去・現在・未来などの時間を使う表現は確かにあるものの、Official髭男ismのようにそれを効果的に使おうという意図はあまり感じられません。

例えば「今」で有名なフレーズは白日のあのフレーズです。

白日:
の僕には
何ができるの?
何になれるの?
誰かのために生きるなら
正しいことばかり
言ってらんないよな

ここに「今」が出てきます。メインボーカルの井口ではなく、常田本人が歌っているのが印象的ですね。しかし、1:15に出てくるように「へばりついて離れない地続きのを歩いているんだ」とあるように、常田にとっての「今」とはOfficial髭男dismの藤原のような物語の「転換ポイント」としての意味はありません。

どちらかというと、「今」は過去から綿々と紡がれた「過去」からの延長に過ぎないという考え方なのではないでしょうか。


常田の考える「未来」も過去や今と同じく過去や今の延長線上に過ぎないことが、Teenager Foreverでも垣間見ることができます。

Teenager Forever:
一体未来
どうなるのかなんて事より
めくるめくという煌めきに
気づけたらいいんだ

このように、KingGnu。とくに常田大希を語る上で、過去、現実、未来と言った時間を持ち出すことにはあまり意味を持ちません。

彼にとって時間とは、ただ流れていくもの。

今という煌めきに気付くことができていれば、その後どんな未来があったとしても、自分の理想を抱いて生きていくことができる。そう考えていると思います。

では、彼の思う理想とは何なのでしょうか。


■KingGnu 常田大希が考える理想に接近する。

今までリリースした曲の歌詞を、Official髭男ismの曲と比較しながら見ていくと、気になるワードがいくつも出てきます。そこから見えてくる常田大希のイメージは、「自分にも、世界にも絶望している」ということ。詳しく見ていきましょう。

まずは「自分」について

どろん:
ひとりぼっち 孤独渦巻いた
ここから抜け出さなきゃ
自分を好きになりたいんだ

常田大希は、決して自己肯定感の高い人物ではないと思います。社会の大きな流れの中で、自分が消費されることを恐れる普通の人物です。「自分を好きになりたいんだ」とメインボーカルの井口ではなく常田本人が歌うのには意味があるはずです。

Youtubeに上がってなかったので貼れないのですが、
「壇上」という曲の1:10あたり

何も知らなかった自分
羨ましく思うかい?

これも常田本人が歌っている部分です。「どろん」と同じように、どうやっても自分に自信満々のナルシストとは正反対のパーソナリティが見え隠れしています。自らに批判的な内省的思考をもった人物像があらわになっていくのです。

ここでさらに、常田の「世界」をのぞき込んでみましょう。

The hole:
愛を守らなくちゃ
あなたを守らなくちゃ
世界の片隅に灯るかすかな光を
あなたは蜃気楼
わかったように見えてる 世界は錯覚だらけ

常田大希にとっての「世界」はどこか冷たいモノです。危険というワケではなく、ただ大きく、抵抗することができない圧倒的不可侵。そんな存在です。世界に確かに存在するハズの、人と人との繋がりを信じているハズなのに、世界が信じることを許してくれない。そんな気持ちが垣間見えてきます。

The holeの「愛を守らなくちゃ あなたを守らなくちゃ 世界の片隅に灯るかすかな光を」って、常田が愛やあなたを守るというよりも、自分自身を守りたいと訴えているように聞こえませんか?僕には、冷たい世界から、自分を。そして、周りにいるほんの少しのアナタを守りたいと言っているように聞こえるのです。


■「本質」を求める常田大希

Flash!!!:
全ては冗談だって
ホンモンかニセモンかなんて
くだらねえぜ真実なんて
破裂:
目に映る全てが 悲しく笑うなら
目を瞑ればいい

常田大希を語る上で大切なワードに「全て」があります。

主に「世界」に対して「全て」をかけていることが多いのですが、彼にとっての世界がいかに儚く壊れやすいモノなのかを端的に示している言葉です。


Official髭男dismの理想が、「今」を全力でもがくその姿、そのエネルギーにこそあるとするならば、

KingGnuの理想は、世界と自分を知り、何事にもとらわれることなく、夢を終わらせて、今に向き合う小さな自分こそ美しいと考えているのではないでしょうか。

そしてここからは邪推ですが、彼は、世界に降り注ぐ絶望をかばうようにすべてを守ってくれる存在を求めているのではないでしょうか。それはすなわち「母性」です。


白日:
真っ白に全てさようなら
降りしきる雪よ
全てを包み込んでくれ
今日だけは
全てを隠してくれ

「白日」のラストは、すべてを包み込んでくれ、すべてを隠してくれ。で終わります。

小さな自分と、冷たい世界。それを知ってしまった常田は、それらから自分を守ってくれる傘のような存在を求めている。そう考えると、つじつまがあいます。(異論は認める)


まとめ

2019~2020年を代表する2大バンド「Official髭男dism」「KingGnu」について、歌詞から彼らの考える理想について深読みしてみました。新しい試みだったのですが、いかがだったでしょうか?

音楽の分析になると、コード理論や歌唱力の話になりがちですが、今回は「歌詞」に注目して、彼らの突飛な世界観を分析してみました。

Official髭男ismは、時系列に注目すると、「今」をMaxにするエネルギーの根本が見て取れる、比較的分かりやすい構造になっています。

それに対して「KingGnu」は非常に難解です。

それは、KingGnuの曲を作っている常田大希が、おそらく非常に内省的な人間であることを示しています。しかし、彼の作る音楽が突拍子もなく難解に聞こえると同時に、彼は全てから自分を守ってくれる母性を求めている気がしてなりません。しかも、彼は安易に助けを呼ぶこともありません。もしかしたらそれに無自覚なのでしょうか。いや、それを考えないようにしているのかも?そう考えると、これほど美しいものがあろうかと脳汁がぶちまけられそうになります。

歌詞を比較しながら分析するとすごく面白いのでオススメ。

みんなも #Stayhome でやってみよう!



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