魚たちは賛美歌をうたえない

 

ぼくがさみしいあいだは君にもさみしくあってほしいと思うこと、恋だとか愛だとかじゃないなら、なんて呼んだら文学であれるかわからなかった。君がなんびきも飼っているちいさな銀色の熱帯魚、ララ、リザ、ルーシィ、レイ、ロンド、うつくしい歌をうたうような名前の熱帯魚、ぼくにはいっぴきも見分けがつかない、いなくなったって構わない、熱帯魚。

水槽をひっくり返さない理由なんて君が泣くから以外になくって、それが、ひっくり返す理由になってしまう日がこわかった、笑っている顔が好きだよと言ったくちびるで魚たちをたべてしまったらどんな顔をするだろうと、考える醜さがこわかった、のに、そんな熱情以外みんな体温が通わない。
ねぇ君は、ルーシィの悲しい尾びれが見たいとか、思わないんだろう、ぼくらがけんかをした日には、リザとレイも仲違いしていてくれとか、思わないんだろう。鉛みたいな銀色、たとえば精巧なロボットに全部かわっても、君は気づける、だろうから、ぼくはあいつらを、まとめて魚とよんでやりたい。






生活になるし、だからそのうち詩になります。ありがとうございます。