琥珀のゆびわは海をさまよう

 
ハッピーエンドしか見たくないってうずくまる君をだれが憎んだりできるの、エイミー、その瞳はアンバーで、君はいつだって彼女になりたくてテレビの電源を入れたんだ、僕はその物語の結末を見ることなく死ぬのだと思う、君と暮らせない程度の今が、つづく限り。

似合わないから髪を切らない、黄色のワンピースは選ばない、一輪挿しには絶対に薔薇と百合は飾られなくて、そんな困難で億劫な現実、たぶん君にだけやってくるわけじゃない現実、自分で巻きつけた鎖に守られていることだって君は分かっているから、さめざめと泣くのだ、エイミー、あなたになりたい、けれどなれない、なぜなら、あなたとして産まれていないから。

お別れの日が来るとしたら目一杯傷つけてやりたいと思うこと、健全な恋だとは思っていないけれど強靭な愛だとは思っているよ。薔薇の花束を抱えてプレゼントにレモンイエローのワンピースを用意して、プロポーズみたいにあけたリングケースの中には君の鎖を解く鍵を入れよう、そうしてお別れを告げよう、僕は、ショートカットの女を好きになったんだって。
君は泣くだろうか、哀しい映画のヒロインみたいに、僕は立ち上がろう、さみしげな顔で、レビューサイトで酷評される、クズ男みたいに。

君と二ヶ月後にすれ違うあたらしいこいびと、彼女の瞳はダークブラウンで、髪を金色に染めている。




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