フロストシュガーならゆるしてくれたのに

窓の向こうがやけに明るく見えて、それでもレースの遮光カーテンは自分の味方だと信じてやまない。明け方の涼しい風、想像しただけで泣きたくなるような柔らかさと冷たさに、怯えるなよ、サンダルをつっかける冷静さとスマートフォンをつかむ卑怯さだけで、カーテンも生ぬるい布団の重たさも誠実に裏切ってしまえよ。

スヌーズ機能つきのアラーム、まぶたを持ち上げるだけで泣きたくなるような気圧にそれでも涙は眠る、眠らせる。
どうしようもない怠惰と積み重なった失望が喜怒哀楽をサボらせるようになって、契約を迫っていたあくままで帰っていくから、ヨーグルトの中、何も起こらないこと分かってて描いたへたくそな魔法陣、溶け残った砂糖のざらつき。

どうせなら欲望にも愛想を尽かされたかったのに彼らはしぬまでそばにいてくれるらしい、ひとりになりたいと思ったりするのはどうせ理由もなくさみしいからで、ねぇ、欲しがったのは孤独と似た別の自由で孤独そのものではないのよって、夜が明けるまでひとばんじゅう、きみに説いて叱られたかった。




大海明日香



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生活になるし、だからそのうち詩になります。ありがとうございます。