感情線ワタクシ駅徒歩五分
心臓を区切った大家が高すぎる家賃にシアワセばかり催促
隙間からこぼれたひかりに照らされるゆびカミサマだって求婚してる
洗われるのを待つだけのスプーンが映す反転世界返り血
いっぽんの薔薇が遊びにやってきてシーツに穴だけ空けて帰った
レトルトのパスタ並べて脳内でテーブルクロス引きのまいにち
ああ今日も偉かったって眠れるなジブンもダレカも殴らなかった
だってだれにも見えないのだからだれにも叱られたりしないのに、散らかしてごめんなさい、とあやまる、心臓、広くない1Ꮶ。
あなたを住まわせられるようにきれいにしていたいのに、花なんか飾りたいのに、着ていきたい服が決まらなくてめちゃくちゃにしてしまう、ぱらぱらとめくっただけの雑誌を積み重ねてしまう、キャラクターのマグカップがいくつも乾かしてある、割れてしまっていちばんかなしいの、どれかわからない。部屋の隅でうずくまる、ちいさく、ちいさく膝をかかえると、まだ、子どものままでいられるような気がする。
ひらいていない本たちがざわめく、生活の大体が煩わしい、ガラスの一輪挿しをひとつ、もう二度と行かない雑貨屋で買った。そのうち、割ってしまうのだと思う、割れてしまうのでなく、ゆっくり、手を離して、割ってしまうのだと思う。
丁寧に、丁寧に、暮らしではなく、不安定を丁寧にやる。あなたが散らばった破片で、指を切ってしまわないように。
生活になるし、だからそのうち詩になります。ありがとうございます。