草食のワニ、半円のひとみ


信号が青に変わるまできちんと待っていれば、白線を踏むごとに正解の音がなると思っていた、
あの虫をころさずにいれば、ころされずにすむと思っていた。


かみさまは黒い黒いもやみたいなかたちをしている、
かと思えば特別美しくもない人間のかたちに見えるときもあって、
そういうときは度の強い眼鏡を外してまるまって眠ることにする。ドーム型の殻の中で。
わたしのつくった半透明のきれいなきれいな殻は時折ひかりを反してあらゆる色にひかる、上にダイヤなんかよりずっとずっとかたい、
おなじ色の傘がほしい、雨は嫌い。
嫌いになったのは、水たまりの中に音楽を落としたせいかもしれない。

落ちている音楽を拾ったひとがしあわせになりますように、落ちてくる音楽を受け止めたひとの靴紐が解けますように。
かみさまが歌をうたうのなら少しだけ愛してやってもいい、ワニの住む池のほとりで、誰に聞かせるわけでもない、明るいだけのさみしい歌を。


信号が青に変わるまできちんと待っているから、白線だけを踏む愚かさを愛してください、
虫をはじめてころした日のことはもうおぼえていないけど、わたしがわたしをころした日のことはいつだって忘れていないから相殺、

わたしがもやになるときは、たぶん派手なピンクにしてもらえる。







生活になるし、だからそのうち詩になります。ありがとうございます。