凶器は分厚い植物図鑑


アイドルに君のおかげで生きてるよってあのひとがリプライしたときにだけ咲く黒い花が図鑑に載ってないのはたぶんYouTubeで見たなんかの陰謀のひとつで、わたしだってあなたのおかげで生きてるわけではないこと、言わなくても世界の常識として空気中にふよふよ浮いてる、から、そういうのみんなみんな可視化して、ばりばり食べちゃえば空気読めないね、なんて誰も言わなくなるかな、そのための牙を生やしてわたしがバケモノになるかわりに。トクベツに、なるかわりに。
   

心に悪魔を飼っているので、と気軽に言えない、飼われているのはわたしかもしれない、どちらかといえば天使みたいな顔の幼い頃のわたしを、悪魔が飼いたいと思ってもなんら不思議じゃないでしょう。
本当の退屈が喧騒のど真ん中で台風の目みたいに座っていることを知らないひとたちが、真面目だねって言葉につまんないねってルビをふる、
どうせまだ天使に近いわたしのからだに、たぶん地獄で育った蔦が絡まる、みたいなあの瞬間、街の外れの植物屋敷の門は開いて、飲んだことのないハーブティーの香りがする。














生活になるし、だからそのうち詩になります。ありがとうございます。