金魚鉢には毒を溶かして

強いアルコールも味のうすい煙草も朝になれば消える快楽もどうせ愛の代わりにはなんないからいらない、失望がおそろしいから期待できずにいます、なのに、お砂糖のその甘さだけに依存しています、裏切られてもいいと思えるくらい満たされてしまうのです、あぁ、確か恋ってそういうもんだったっけ。

好意って液状らしいよ、好き、好き、好き、息もつけず繰り返すうちに落ちる唾液を見て気づいたの。
それなら熱帯魚の水槽をそれで満たしてきみにあげたい、ネオンテトラの美しさを羨んでほしい、ぼくも水を、ぼくも海を、ぼくも愛を、泳がせてくれと、渇望する姿が見たい。わたし?わたしは、真っ赤なマグカップがいいな。
その液体が透けていて、不確かだってことに気づかないうちに飲み干せるように。

ぽた、ぽた、締めたはずの蛇口から一定のリズムでこぼれるしずく、シンクが海に繋がってればいいんだけどそんなの無理だし、さみしいからマグカップで受け止めよう。いつかきっと満杯になって、そうしたら宝物みたいに口をつけよう、ここが砂漠だって想像しながら、ひとくちを繰り返そう。
お砂糖、入れたら溶けるかな。溶けきらずに、濁ってしまうかなぁ。


大海明日香



#詩 #散文詩 #poem

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