ぼくのわたしのしょうらいのゆめ

 
美しく花瓶にささった姿しか知らない君の言う「はなやさん」

プリキュアになれないことは知ってるしせめてとびきりやさしくなりたい

月でただ架空のうさぎを探したいそのためだけの宇宙飛行士 

でんせつの勇者になるのはアイツだしおれは吟遊詩人とかがいい

しあわせにただしあわせになりたいですほかにやりたいことはないです

 (連作短歌『ぼくのわたしのしょうらいのゆめ』)

 

 
 
セーラームーンになりたかった、なれないことは知っていた、
アイドルになりたかった、いつかなれるかもしれないと思っていた、
自己紹介には、幼稚園の先生になりたいと書いた、本当はそれになりたいなんて思ったことはなかったけど、当たり障りがないからだった、感情の見えるおとなのひとと強いともだちがいつだって怖かった、小学校2年生の春だった。

わたしたち、ほんとうにしあわせを疑わなかったときなんてあったんだろうか、それとも、しあわせってなんなんだろうねって、問いかけて考えるふりばかりしている今も、ほんとうはなにひとつ疑っていないからこうしていろんなものを求めて手に入らなくて泣きたくなったりするんだろうか、
だとしたら、なんてかわいいんだろうと思う。もう昔みたいに、ばかみたい、なんて嘲笑したり絶望したふりで自分を守ろうとするのはやめたい。
セーラームーンになりたいのもプリキュアになりたいのもディズニープリンセスになりたいのも、つよくてやさしくてかわいくって素直で、でも生きているからちょっぴり弱かったりこわれそうになったりして、それでも折れたりはしないひと、が、いちばん美しいってわかってるからだよ、

幼いころのしょうらいのゆめ、覚えてますか、
別に忘れたっていいし、追いかけてなんかなくたっていい、そんなもの、ないならなくたっていいし、だけど、もし、あるなら、それが支えになったりするなら、しんじていてねってちいさいころの自分に言ってあげたかったりします。
 
 
わたし詩人になりたい、文章を書いていたい、そうやってだれかのあいどるになりたい、
いつだってただあいされたい、あいしていたい、世界と、あなたと、きみたちと、自分と、あいしあいたい、
つよくてやさしくてかわいくて、それでもひとりでは生きていられないから、折れないようにだれかと抱き合って、そうやって、いくら綺麗事だっていいから、すきなひとたちみんなでしあわせになるって疑わないでいたい、だけど、ずっと、忘れないようになにもかも考えていたい。










生活になるし、だからそのうち詩になります。ありがとうございます。