ラクダの鳴き声を真似できない

 
なんかみんな乾いてない?
馬鹿みたいに暑いからかい
本当はわかっている
おれだけがとんでもない晴れ男で
干上がった泉の底で
死骸のふりをして寝そべっている
本当はわかっている
みんなオアシスにいる
おれが水の味を忘れてしまっただけ
乾ききった喉を鳴らして
流行りの歌をうたうだけ
 
 
シャッフル再生で流れてきた時にしか
聴きたくない歌を聴く
おれの砂漠はだだっ広いだけで
ラクダの1匹もいやしない
オープンカーには乗りたくないな
浴びたくないぬるい風があるから
思い浮かべたラムネ味のアイスに
酒を注がないことが音楽
飲まない酒はいつか死んだ
嫌いな父親の墓標に供える
意味はないけど
意味があるように見える
 
 
本当はわかっている
みんなオアシスにいる
おれが水の味を
はじめから知らなかっただけ





生活になるし、だからそのうち詩になります。ありがとうございます。