グッナイ・エンヴィー


夢のなかできみいがいのひとに恋をしました、おだやかでない恋でした、だからどうということはなく、目覚ましがなる前に目を覚ましていつもよりぬるいコーヒーを飲むのでした。
きみに贈ったもののうち、いちばん軽いものといちばん重たいものを思い出しています、
たぶん、どちらも、ぼくの身体なのだと思います。

ぼくはきみに不自由にしてほしかっただけで、ぼく自身の手で不自由になりたかったんでないのにな、と、思いながら、きみがいないあいだ、大抵はつめたい波に足元をさらわれている、
荒れ狂う海をあんなに恐れていたのに自分の声だけが響く夜は眠れなくなって、
波の音を聴きたかっただけなんだよ、
ただひどく静かなことが苦手だから、
波の音が聴きたかっただけなんだ。


スマートフォンが無機質な波を映す、
(ぼくは泳げない)
海をあらだてるのはスクロールするぼくの指なのかもしれない
(のに)
このなかにいるかもしれない夢のなかだけの恋人は、
(日に日にちいさくなっていく波に苛立っている)
ぼくの知らない場所で息をしている、
(人魚姫はきみだけでいいから)


泡になって消えないように、ぼくはいっしょう歌ってやる。













生活になるし、だからそのうち詩になります。ありがとうございます。