昔飼ってた生き物たちの話

今朝方のこと。

講義終わりに一服をしていた。ボーッとしながらタバコに火をつける。ライターを点火させタバコの先端にゆっくり近づける。その目線の少し端を1匹の小さなトカゲが駆けていった。

青。日光を反射して草むらでキラキラと光るそいつ。私は近づいて、そいつの肢体をまじまじと見つめる。

その時になんとも言えない懐かしさみたいなものを感じた。


まだ私が子供の頃。学校の近くの畑で友人らと生き物採集に出かけたことがあった。そこには虫やらトカゲやらが沢山、そりゃもう沢山いた。子供にとっては最高の遊び場である。私はそこでトカゲを二、三匹捕まえて家に持ち帰った。そして大きな虫かごに入れて飼育をすることにした。

そいつらはなんだかんだ虫かごの中で生き永らえていた。卵も産んで、孵化させようと試みたものだ。飼育するのだから、相応の世話をしなさいと親に言われ日々のエサやりや、水やりを欠かさなかった。しかし所詮子供が飼うのだ。限界というものがある。秋も深まるあたりから冬の初めほどで亡くなったそいつら。人間の子供の無邪気な好奇心によって殺されたトカゲ。

ちょっと苦い思い出をふとしたときに思い出す。子供じゃなくなると、一層その思い出が喉に刺さった骨のようにチクリとした痛みを帯びてくる。

私はその場から踵を返すと、さっさとタバコの火を消して、さながら尻尾を切るように逃げ出してしまったのだった。


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